著者
梅木 茂宣 橋口 浩二 沖本 二郎 副島 林造
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.126-131, 1991-02-28 (Released:2017-02-10)

過去9年間に当科に入院した気管支喘息患者249例のうち, 原発性肺癌を合併した8例(扁平上皮癌5例, 腺癌2例, 小細胞癌1例, 3.2%;同期間の原発性肺癌例465例の1.7%) (A群) と肺外悪性腫瘍合併例8例 (胃癌3例, 悪性リンパ腫2例, 膀胱癌1例, 喉頭癌1例, 前立腺癌1例) (B群) について, それぞれの臨床像を比較検討した. A群では, 平均喘息罹患年数が19年で, 全例が感染関与型であり, 3例が軽症型喘息, 他の5例が中等症型喘息であった. B群では, 平均喘息罹患年数が20年で, 全例が感染関与型であり, 5例が軽症型喘息, 他の3例が中等症型喘息であった. 喫煙については, A群の平均BI値1194は, 肺癌非合併例 (241例) の同166およびB群の同169に対して有意に高かった. A群の平均生存期間26ヵ月以上はB群の同77ヵ月に対して有意に低かった. 以上の結果より, 肺癌合併気管支喘息では成人発症の感染型が多く, 原発性肺癌の発症には喫煙と加齢による影響の大きいことが示唆された.