著者
Koizumi Takeshi 宮村 淳一 菅野 智之 橋口 祥治
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2016年大会
巻号頁・発行日
2016-03-10

気象庁は、噴火災害軽減のため、全国110の活火山を対象として、観測・監視・評価の結果に基づき、噴火警報を発表している。噴火警報は、噴火に伴って発生し生命に危険を及ぼす大きな噴石、火砕流などの火山現象の発生や、危険が及ぶ範囲の拡大が予想される場合に、「警戒が必要な範囲」を明示して発表される。噴火警戒レベルが運用されている火山では、気象庁は、あらかじめ地元の火山防災協議会で合意された、防災行動とリンクした噴火警戒レベルを付して噴火警報を発表する。これらの噴火警報は、報道機関、都道府県等の関係機関に通知されるとともに、直ちに住民等に周知される。地元の市町村等の防災機関は、噴火警報に基づき、入山規制や避難勧告等の防災対応を実施する。平成26年(2014年)9月27日に発生した御嶽山噴火では、11時52分の噴火発生から8分後の12時00分、気象庁は「噴火に関する火山観測報」を発信し関係者に噴火発生の事実を伝えるとともに、警戒が必要な範囲を評価した上で、12時36分に噴火警報(噴火警戒レベル3)を発表した。しかしながら、噴火は登山中の人々を巻き込み、多くの人命が失われる結果を招いた。火山噴火予知連絡会の火山情報の提供に関する検討会は、登山者等火山に立ち入っている人々に、迅速、端的かつ的確に伝えて、命を守るための行動を取れるよう、「噴火速報」を新たに発表することを提言、気象庁は平成27年(2015年)8月からその運用を開始した。噴火速報は、登山者や周辺の居住者に噴火後速やかに身を守る行動を取ってもらうため、噴火の規模の評価等を行う前に、噴火の発生事実のみを発表する情報である。噴火速報は、観測体制の整っている常時観測火山を対象とし、その火山が初めて噴火した場合、また、継続的に噴火している火山では、それまでの規模を上回る噴火を確認した場合に発表される。視界不良により遠望カメラでの確認ができない場合でも、地震計や空振計のデータで推定できる場合は、気象庁は「噴火したもよう」として噴火速報を発表する。噴火速報は、気象庁ホームページ、テレビ、ラジオなどで知ることができるほか、平成28年1月現在、ヤフー株式会社、日本気象株式会社、株式会社ウエザーニューズによって、スマートフォンアプリ、メール等による情報提供サービスが行われている。