著者
橋本 みどり 高橋 守 長谷川 喜弘 本田 泰人
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.66-70, 2013-01-25 (Released:2016-10-29)
参考文献数
14

背景.気管支鏡検査中の急性肺水腫は重篤な合併症の一つである.症例. 40歳女性.抗菌薬にて肺炎が軽快しないため当科に転院.気管支鏡検査を施行したが,気管支内腔を観察し終えた頃から,多量の血性泡沫状痰の喀出と著明な低酸素血症を認めた.胸部単純X線写真で肺水腫と診断し,呼気終末陽圧換気(positive endexpiratory pressure ventilation : PEEP)を伴う人工呼吸管理を開始,ステロイドパルス療法,利尿剤投与にて翌日には抜管した.入院時のマイコプラズマ抗体価は80倍で, 2週間後に640倍に上昇しており,マイコプラズマ肺炎と診断した.結論.急性肺水腫は,頻度は多くないが致死的な気管支鏡検査時の合併症であり,気管支鏡検査施行時には緊急時を想定した十分な準備が必要である.