著者
橋爪 敏彦
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.447-450, 2003

背景.サウナ入浴に関連した肺疾患の報告は少ない.今回サウナ入浴後に細気管支炎を発症した1例を経験したので報告する.症例.症例は52歳の男性.サウナ入室直後に刺激臭を感じ咳が出始め,その後発熱と呼吸困難を伴うようになり2日後に当院を受診した.胸部で喘鳴を聴取し,胸部CTでは両側肺野びまん性に小葉中心性粒状影と浸潤影が認められた.入院のうえ抗生物質を投与した.気管支肺胞洗浄ではリンパ球分画の増加が認められたが,病原微生物は検出されなかった.患者血清に微生物に対する沈降抗体も証明されなかった.第4病日には浸潤影はほぼ消失し,第5病日に退院となった.結論.本症例の発症機序としては,サウナ室内の何らかの呼吸器系刺激物質による細気管支・肺障害や,病原微生物による過敏性肺炎の可能性が考えられた.