著者
末岡 啓吾 檜山 哲夫 仲本 準
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集 第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.328, 2006 (Released:2006-12-27)

酸素発生型光合成におけるNAD(P)H dehydrogenaseの役割、特にcyclic電子伝達系における役割が近年注目を集めている。しかしながら、いまだこの酵素は均一に精製されておらず、サブユニット組成に関して不明な部分が多い。そこで本研究では好熱性シアノバクテリアThermosynechococcus elongatusにおけるNAD(P)H dehydrogenaseのサブユニット組成解明を目的とした。Thermosynechococcus elongatusを強い酸化ストレス条件下(強光+methyl viologen)に曝したところ、70 kDaと140 kDa のNAD(P)H dehydrogenase活性が誘導された。この結果はこれらのNAD(P)H dehydrogenaseが酸化ストレス条件下での適応メカニズムに関与していることを示唆しており、cyclic電子伝達系への関与を期待させる。これら酸化ストレスで誘導された活性タンパク質について、それぞれnative PAGEで活性染色によるバンドとタンパク染色によるバンドが一致するような標品にまで精製した。本年会ではこれらのNAD(P)H dehydrogenase について、それぞれ酵素学的性質およびサブユニット組成について報告したい。