著者
櫻井 清華
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.43-53, 2009

宇治の大君は薫の求愛を拒み通して死に至る。その死への道筋の解釈は先行研究によって様々になされてきたが、本論は、薫が大君のもとに押し入った際に大君の心内語として語られた「むくつけし」と「ねたし」の二語を鍵語として、大君がどのような思惟と状況にあって薫拒否という生存戦術を貫き通したかについて考察する。