著者
歌原 定二
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
機械學會誌
巻号頁・発行日
vol.37, no.206, pp.339-342, 1934-06-01

水槌ポンプの弁室内及導水管中の圧力變化の有様及水槌弁の動作と諸水量の關係を研究せんとす。弁室内の圧力は導水管の末端の圧力と等しからずして、高揚水頭に於ては水槌圧力により兩所の圧力の相違多大なり。然るに低揚水頭にては空気室内の圧力の影響をより多く受けて兩所の圧力は殆んど等し。水槌弁全開中の時間長き時は閉鎖に要する時間短かく兩時間の和は總ての揚水頭に對して殆んど一定にして、水槌弁は揚水弁が開き居る間は絶對に開く事なし。さわば水槌弁閉鎖中の時間の長さは空気室内の圧力の影響を受けてその時間曲線は瓦斯の膨脹曲線に類似す。特別をこ廢り水の減ずる事あるは揚水弁が弁座へ着きし時と水槌圧縮波が其下に發生せし時と同時なる場合にして水槌弁閉鎖中の時間最長にして開き居る時間最短なれば廢り水量最も少なし。廢り水量は揚水頭に件ふて増大し揚水量は反比例す。