著者
水野 元夫 武 進 石木 邦治 山本 和秀
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.109, no.1, pp.30-36, 2012 (Released:2012-01-06)
参考文献数
32

Helicobacter pylori除菌治療による胃癌1次予防効果に関してはレベルの高いエビデンスとして示されているとはいえないのが現状である.しかし,早期胃癌内視鏡治療後の2次癌の予防効果がランダム化比較試験により明らかとなり,さらに,われわれの報告を含め,1次癌の予防効果を示す観察研究もいくつか報告されてきた.この点に関し,さらなる長期にわたる臨床研究は時間の浪費であり,積極的な除菌による胃癌予防を実行すべき時代に入ったと考える.より効果的な胃癌予防,さらには新規感染の防止のため,就職,結婚などの機会に,できるだけ早期にH. pyloriスクリーニングを行い,感染者には可能な限り除菌を行うように勧めるべきである.