著者
武久 徹
出版者
医学書院
雑誌
臨床婦人科産科 (ISSN:03869865)
巻号頁・発行日
vol.61, no.7, pp.947-949, 2007-07-10

何も避妊方法を使わないと1年以内に35%は妊娠する.日本に比べ,米国では多くの避妊方法が使用許可されている.それぞれに利点と欠点があるが,各避妊方法別の1年目の失敗率は,殺精子剤29%,コンドーム15%,経口避妊薬3%であり,銅付加子宮内避妊器具(IUD)は0.8%,黄体ホルモン放出子宮内避妊装置(IUS)は0.1%である(Contraception 71 : 319, 2005/70 : 89, 2004).参考までに,日本で使われているIUD(非薬剤付加.プレイン)の失敗率はFD-13.7%,優性リング2.5%と高率である. 子宮内避妊用リング(IUD)は安全で有効な長期使用ができる避妊方法である.米国では2つのIUDが利用できる.Coopper T 380Aとlevonorgestrel(レボノルゲストレル)子宮内システム(日本商品名Mirena)である.しかし,米国でIUDを使っている女性は少数である.その理由は,1970年にダルコンシールドが米国で発売され間もなく,敗血症性流産や骨盤内炎症性疾患の報告があり医療訴訟が多発し,販売会社は莫大な訴訟費用の懸念が発生したため,1988年までに1社のIUDを除いてすべて完全に米国市場から撤退したためである.