著者
石津 日出雄
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.398-400, 1991-04-10

月経血の成分 月経血とは,一定の周期で反復放出される子宮体内膜からの血性分泌物のことである。月経血は大部分血液のように思われているが,血液の含有率は個人により大きく異なっており,全血比にして1.6〜81.7%,平均36.1±3.6%である1)。大まかに言って血液は約40%位である。子宮内避妊器具を用いている女性では,血液含有率は高い。血液以外の分泌物の主要なものは子宮体組織液であるが,腟液,頸管粘液,子宮内膜の崩壊した組織片,腟上皮細胞,細菌などを混じている。月経血には特有の臭気があるが,これは血液の分解,外陰部の皮脂腺の分泌物などの混合による2)。
著者
三田村 康貴 占部 和敬 古江 増隆
出版者
医学書院
雑誌
臨床婦人科産科 (ISSN:03869865)
巻号頁・発行日
vol.67, no.9, pp.982-984, 2013-09-10

要旨 18歳,女性.3週間前から出現した右上腕の萎縮,陥凹を主訴に当科を受診した.5か月前にHPV(human papillomavirus)16/18に対する子宮頸がんワクチン(サーバリックス®)を同部位に筋肉内注射されていた.モルフェア,深在性エリテマトーデスなどの鑑別目的に皮膚生検を施行した.病理組織学的検査では病変の主体は皮下脂肪織にあり,脂肪細胞の変性および消失が認められた.ヒアリン様物質の沈着,脂肪滴を貪食する組織球を認めた.サーバリックス®による脂肪萎縮症と診断した.一般にステロイド局所注射により脂肪萎縮症をきたすことが多く,女性に多いことが知られている.サーバリックス®による脂肪萎縮症の報告は調べえた限りなく,きわめて稀であると考えられた.婦人科医師は本疾患を認識し,対策を取る必要があると考えたため報告する.
著者
石山 芳夫 深田 良雄
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.641-642, 1956-09-10

まえがき 新止血剤アドレノクロムモノセミカルバゾンは,1943年Dr.F.Barconner等により合成され,ベルギー,フランス等で種々研究が加えられた結果,優れた血管強化並びに止血作用を有することが明かとなつた。 之の止血機序は,従来の血液の凝固を促進させる止血剤とは異なり,アドレナリンの止血作用によるものである。すなわち,アドレナリンは生体内で酸化されて,アドレノクロム及びアドレノキシンとなり,止血作用を現わす。このうちアドレノクロムは交感神経刺戟作用がなく,止血剤として極めて有用なことが明かとなつたが,以前は不安定,且不溶性のため実用には供されなかつた。ところが或種の誘導体,特にモノセミカルバゾンは,乾燥状態でも水溶液でも,非常に安定であることが発見され,臨床的使用が可能となつた。
著者
矢沢 珪二郎
出版者
医学書院
雑誌
臨床婦人科産科 (ISSN:03869865)
巻号頁・発行日
vol.69, no.11, pp.1106, 2015-11-10

経口避妊薬(ピル)の使用はある種の腫瘍を増加させる.今までにピルの使用と中枢神経腫瘍との関連を調べた文献は少ない.長期的なピル使用者では,グリオーマの発生頻度が非使用者のほぼ2倍であることが報告されている.デンマークの研究者たちは全国的な規模のpopulation based settingで,更年期以前の女性たちにおいて,ピルとglioma(神経膠腫)との関連を調べた.

6 0 0 0 閉経後妊娠

著者
笠井 靖代 杉本 充弘
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.976-984, 2015-10-10

●「卵子提供」に関しての指針やその体制の整備がないなかで,日本では2000年頃より50歳以上の女性の分娩が増加しており,2015年現在,年間約50人の女性が出産している. ●閉経後妊娠には,卵子提供による母体リスクと高年齢化による母体リスクが両方存在するが,卵子提供を含めた生殖医療に関する法整備がない.特に卵子提供については,学会の見解もなく,早急な対応が必要である. ●妊娠・出産・育児は連続した営みであり,妊娠を目的とした不妊治療,出産を目的とした周産期医療と分断されることなく,妊娠・出産にかかわる医療は,子どもが成人するまでの育児を見据えて行われる必要がある.
著者
郡山 純子 柴原 浩章 鈴木 光明
出版者
医学書院
雑誌
臨床婦人科産科 (ISSN:03869865)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.846-851, 2010-05-10

はじめに 1978年に英国のSteptoeとEdwards 1)が世界で初めて体外受精・胚移植(in vitro fertilization-embryo transfer : IVF─ET)の成功を報告し,その後1992年にベルギーのPalermoら2)が受精障害を伴う重症男性不妊症を対象とする卵細胞質内精子注入法(intracytoplasmic sperm injection : ICSI)に成功した.これらの生殖補助医療(assisted reproductive technology : ART)は難治性不妊症に対する最終的な治療法として位置づけられ,広く一般に普及するに至っている. 一般にARTにおいては,調節卵巣刺激(controlled ovarian stimulation : COS)を行い,至適範囲内で複数の卵子を採取し,媒精後得られた受精卵の中から,良好胚を選択し移植を行う.また受精卵を凍結保存する場合も,一般に良好胚のほうが生存率・着床率とも高く,良好胚の選択は不可欠である. 従来は受精後2~3日目の初期胚の形態学的評価法が一般的であった.最近では初期胚を連続的かつ非侵襲的に長期間観察可能な体外培養装置を用いて,ヒト胚の発生過程の動的解析(time-lapse cinematography : TLC)が可能になり,静止画像からでは解析できなかった新たな知見を認めている3).一方,胚発生に問題の少ないと考えられる良好胚移植後の反復不成功例では,hatching障害による着床障害がその一因と考えられる.われわれは,抗透明帯抗体の検出法を確立し,抗透明帯抗体による不妊発症機序の解明,ならびに抗体の生物活性の多様性を報告してきた4). 本稿では,卵子・受精卵・透明帯の評価法について記述し,着床障害となる卵側の問題点について述べる(表1).
著者
山口 真奈子 石黒 竜也 榎本 隆之
出版者
医学書院
雑誌
臨床婦人科産科 (ISSN:03869865)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.412-416, 2018-04-20

がん検診のポイント❖わが国の子宮頸がん検診受診率は低く,平均で50%未満である.❖細胞診単独検診では感度の低さに留意する必要があり,特に腺癌は扁平上皮癌よりも細胞診で偽陰性となりやすい.❖世界ではHPV検査単独または細胞診との併用検査でのスクリーニングに移行しつつある.
出版者
日本醫學雜誌
巻号頁・発行日
1946
著者
佐藤 賢一郎 水内 英充 塚本 健一 藤田 美悧
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.100-105, 2004-01-10

近年,卵巣チョコレート嚢腫の癌化が広く知られるようになったが,子宮腺筋症の癌化は稀な病態と思われており,報告例も散見されるのみである.今回,子宮腺筋症の癌化と考えられた腺扁平上皮癌(腺癌部分は低分化型類内膜腺癌)の稀な1例を経験した.症例は50歳,3経妊,2経産で,下腹部痛,腹部膨満,体重減少を主訴に,2002年(平成14年)8月7日に初診した.同年8月27日に診断的開腹術を施行したのち,TJ療法を行ったところ著効したため,2003年(平成15年)3月14日に二次的腫瘍減量術を施行した.開腹所見,病理組織所見より子宮腺筋症の癌化と考えられた. 一般的に,本疾患は術前診断が困難な場合があること,術後の病理組織診においても内膜より発生した体癌との鑑別診断が問題となる場合があること,予後についても同様に考えてよいのかなどの臨床的に重要ないくつかの問題点が存在するため,さらなる症例の積み重ねと知見の集積が望まれる.
著者
田部井 徹
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.777, 1982-10-10

ダウン症候群は,G21トリソミーあるいはD/G,G/G転座による常染色体異常に起因し,出生児の0.17%に出現する。本症は満40歳以上の高齢母親から出生する頻度が高く,とくに転座によるダウン症は,転座保有の親から出生しやすいという。主な臨床症状は,蒙古人様顔貌,四指の奇形および精神知能障害などであるが,出生後早期から適切な治療を開始すれば知能低下や精神障害の程度は軽減させることが可能であるといわれている。 現在迄,ダウン症患者の遺伝学的な検討は数多くあるが,生殖機能に関する報告は少ない。男性の患者は,性器の発育不良による性交不能あるいは精子形成障害がみられ受精能力が欠除することが多く,従って本症の男性が父親になったという報告は見当らない1,2)。通常,女性の患者は,初潮が発来し,月経を有することが多いが,妊娠し分娩する頻度は極めて低い3,4)。本症患者は早死する率が高く,結婚する機会が少なく,さらに重症の精神障害や知能低下のため性交が不可能であることが多いためといわれている。
著者
満田 直美 栄徳 勝光 菅沼 成文
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.475-479, 2020-05-10

●つわりのなかった妊婦に比べ,つわりのあった妊婦のほうが早産の頻度が低かった. ●つわりの程度と早産リスクには関連があり,つわりの症状が強いほうが早産リスクは低下していた. ●つわりと早産リスクの関連性についてのこれまでの研究結果は一致していないが,つわり症状があるほうが早産リスクが低下するという報告が多い.
著者
吉田 淳
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.88-89, 2014-04-20

疾患の概要 逆行性射精とは,外尿道口から射精される精子が,逆に膀胱に射精される疾患である.オーガズムと射精感はあるが,精液量はゼロかごく少量で,すべての精液が膀胱に射精される完全逆行性射精と一部の精液が膀胱に射精される部分逆行性射精がある.射精時の内尿道口の閉鎖不全により発生し,糖尿病などで神経が障害された場合,経尿道的前立腺切除術(TURP)などで内尿道口の閉鎖機能が障害された場合や前立腺肥大症の治療薬であるα1受容体遮断薬の副作用として発現する場合がある. 勃起障害(ED)は,性交時に有効な勃起が得られないために満足な性交が行えない状態で,通常,性交のチャンスの75%以上で性交が行えない状態と定義されている.わが国のEDの有病率は,40歳台で約20%,50歳台で約40%,60歳台で約60%と報告されている.EDは,機能性(心因性)ED,血管性ED,神経性ED,内分泌性ED,陰茎性EDに分類される.
著者
松崎 利也 苛原 稔
出版者
医学書院
雑誌
臨床婦人科産科 (ISSN:03869865)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.490-493, 2009-04-10

[1]多嚢胞性卵巣症候群(polycystic ovary syndrome:PCOS)の不妊治療とメトホルミン メトホルミンは,ビグアナイド系の経口血糖降下薬であり,その作用機序は肝臓における糖新生の抑制,末梢での糖利用の促進,腸管での糖吸収抑制など多彩である.PCOSで病態が改善するのは,インスリン抵抗性の改善により血中インスリン値が低下し,その結果,インスリンで促進されている卵巣のアンドロゲン産生が低下することが主な作用機序である1).