- 著者
-
糟谷 信彦
武永 葉月
村田 功二
宮藤 久士
- 出版者
- 日本森林学会
- 雑誌
- 日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
- 巻号頁・発行日
- vol.103, no.1, pp.40-47, 2021-02-01 (Released:2021-05-07)
- 参考文献数
- 29
センダンの直まき造林技術の確立に向け,まき付ける場所の立地環境,光環境および母樹の違いによる発芽特性や生育特性を評価することを目的とし,以下三つの試験を行った。長野県から岡山県にかけて14カ所の林地に同一母樹由来のセンダン果実をまき付けて発芽および発芽後の苗木の成長を測定したところ,発芽果実率は0~81%,2年目の平均苗高は5~84 cmとまき付け場所により大きく異なり,谷部に近い斜面での成長が良いことがわかった。また,同一母樹由来のセンダン果実を,開空度の異なる場所にまき付けたところ,開空度と発芽果実率,苗高,果実当たりの発芽本数および発芽日との間に有意な相関が認められ,開空度の高い明るい場所ほど,発芽の確率が高まり,苗木の成長が良く,果実当たりの発芽本数が多くなり,発芽日も早まることが明らかになった。さらに異なる母樹から得られた果実を同一場所にまき付けた直まき試験を行ったところ,母樹間で果実1個当たりの発芽本数や苗高が有意に異なっていた。以上により,センダンの直まき造林を行う際には,立地条件,光条件および優良系統の選定が重要なことが明らかになった。