著者
武田 佳恵
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
no.29, pp.339-349, 2008-03

本研究の目的は,現在の中学生はどのような絵を描きたいと思っているのかを,作品における写実の程度と個性の発揮の2観点から探ることである。目的を達成するため,中学生を対象に,美術科授業での描画に関する質問紙調査を実施した。写実の程度が異なる3作品の中から自分が描きたい絵を選択する質問では,写実的傾向が最も高い絵を選択した生徒の割合は,写実的傾向が最も低い絵を選択した生徒の割合と同程度であった。以上のことから,現在の中学生は写実的な描画に対してだけ好意を示す訳ではなく,写実的傾向の低い描画に対しても好意を示すことが示唆された。