- 著者
-
武田 清香
- 出版者
- 北海道大学
- 雑誌
- 若手研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2005
はじめに、PCMと躯体蓄熱を併用した床吹出し空調システムについて、数値シミュレーションにより夏季冷房時のピークカットに有効な運転方法について検討した。1)午前中に循環風量を少なくすることで、床下からの過剰な放熱および室温の低下を防止できることを示した。今回の計算においては、最大32m^3/h/m^2に対し、70%の22m^3/h/m^2で送風する場合、良好な蓄放熱特性および室内環境が得られることがわかった。2)夜間10時間に加え、午前中にも冷凍機を運転して蓄熱を行うことにより、PCMからの放熱をピーク時間帯まで持続させる方法を提案した。6kg/m^2以上のPCMを用いる場合には、シーズンを通して高い夜間移行率でピークカットを行えることを示した。3)設定室温が28℃のとき、26℃の場合に比べ、午前中の室内温熱環境が改善される様子が確認できた。このときピーク負荷時間帯にもPMVはほぼ中立を示し、シーズンを通して快適な室内環境となることがわかった。続いて、同システムにおいて省エネルギー性を維持しながら外気処理(除湿)機能を付加することを目的とし、夜間蓄熱時の低温排熱を用いた潜熱顕熱分離空調システムを提案した。1)シリカゲル製ハニカムを用いた吸脱着実験から、総括物質伝達係数を1.0×10^<-5>m/sと同定した。2)デシカントシステムの給排気出口温湿度を算出する数値計算プログラムを作成し、デシカントシステムにおける低温排熱の利用可能性について検討した。40℃排熱を用いて再生を行うと、1段除湿の場合は必要除湿量の約4割、2段除湿の場合には約8割を賄えることが示された。また、デシカントシステムのみで全て除湿する場合、1段除湿で約90℃、2段除湿で約53℃の再生温度が必要であることがわかった。