著者
武田 芳嗣 湊 省 成瀬 章 前田 徹 藤井 幸治 椎野 滋
出版者
徳島赤十字病院
雑誌
徳島赤十字病院医学雑誌 = Tokushima Red Cross Hospital Medical Journal (ISSN:13469878)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.6-11, 2004-03-01

投球障害肩に対して関節鏡視下手術を行った32名を対象に,上方関節唇損傷に対する徒手テストの診断の有用性を検討した.全例男性で,年齢は16~44歳,平均24.2歳,競技レベルは高校野球13名,社会人野球13名,草野球6名であった.関節鏡視にて上方関節唇損傷は24肩に認めた.徒手テストのうち敏感度,特異度ともに80%を越えたものはなく,90°外転位外旋テストが敏感度,特異度ともに約70%で単独のテストとしては最も有用性が高かった.0'Brien test は特異度は高いが敏感度は低く,Crank test はその逆であった.Relocation test,Speed testの有用性は低かった.複数のテストを組み合わせた場合,90°外転位外旋テストと0'Brien test の組み合わせが,敏感度,特異度ともに80%を越えており,上方関節唇損傷の診断において最も有用であると考えられた.