著者
山之内 浩司
出版者
徳島赤十字病院
雑誌
徳島赤十字病院医学雑誌 = Tokushima Red Cross Hospital Medical Journal (ISSN:13469878)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.118-123, 2004-03-01

近年,若年者の間でボディーピアスが流行しており,口腔内においても舌ピアスの装着者が増加しつつある.これに伴い,舌ピアス装着に続発した重症感染症や金属アレルギーなど種々のトラブルが報告されており,今後,このようなケースに遭遇する機会が増加することが予想される.今回われわれは舌体深部にピアスが迷入したまれな1例を経験したのでその概要を報告する.患者は19歳男性で,舌の違和感と摂食障害を主訴に,近医からの紹介により当科を受診した.初診時,舌背正中部にわずかな腫脹を認め,触診で球状の硬固物を触知した.下顎咬合法X 線写真にて舌正中部に直径約3㎜,円形のX線不透過像を認めた.臨床診断は舌内異物で,局所麻酔下に異物の摘出術を行い,摘出物については元素分析を行った.術後2年11ヶ月経過した現在,舌の運動障害,味覚障害もなく経過良好である.
著者
高芝 朋子 中津 忠則 吉田 哲也
出版者
徳島赤十字病院
雑誌
徳島赤十字病院医学雑誌 = Tokushima Red Cross Hospital Medical Journal (ISSN:13469878)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.52-55, 2009-03-25

症例は小学校中学年女児で,X年7月,友人関係のつまずきを契機に,朝泣いて登校を嫌がるようになった.親や担任が登校刺激するも,女児の抵抗感は強く不登校になった.同時に母親は抑うつ状態に陥っていた.X年10月当院小児科外来を受診し,主治医が母親面談を,臨床心理士が女児の遊戯療法を担当し,別室にて並行面接が開始された.治療経過の中で箱庭療法を導入したことで,女児の遊びを通した自己表現が促進し,強迫症状や母親への暴力は改善した.約4ヶ月,合計11回の治療で再登校に至り,経過は良好である.本症例では,女児の箱庭作品の変化から,急性期総合病院の小児科外来における箱庭療法の効果について,若干の文献的考察を加えて報告する.
著者
武田 芳嗣 湊 省 成瀬 章 前田 徹 藤井 幸治 椎野 滋
出版者
徳島赤十字病院
雑誌
徳島赤十字病院医学雑誌 = Tokushima Red Cross Hospital Medical Journal (ISSN:13469878)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.6-11, 2004-03-01

投球障害肩に対して関節鏡視下手術を行った32名を対象に,上方関節唇損傷に対する徒手テストの診断の有用性を検討した.全例男性で,年齢は16~44歳,平均24.2歳,競技レベルは高校野球13名,社会人野球13名,草野球6名であった.関節鏡視にて上方関節唇損傷は24肩に認めた.徒手テストのうち敏感度,特異度ともに80%を越えたものはなく,90°外転位外旋テストが敏感度,特異度ともに約70%で単独のテストとしては最も有用性が高かった.0'Brien test は特異度は高いが敏感度は低く,Crank test はその逆であった.Relocation test,Speed testの有用性は低かった.複数のテストを組み合わせた場合,90°外転位外旋テストと0'Brien test の組み合わせが,敏感度,特異度ともに80%を越えており,上方関節唇損傷の診断において最も有用であると考えられた.
著者
増田 健二郎 赤岩 仁美 東根 五月 小野 ますみ 岡本 英夫
出版者
徳島赤十字病院
雑誌
徳島赤十字病院医学雑誌 = Tokushima Red Cross Hospital Medical Journal (ISSN:13469878)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.10-14, 2008-03-01

当院健診部のデータベースより,人間ドック受診者について過去10年間の喫煙率を抽出・調査した.男性の喫煙率は年次を経る毎に低下し,1997年度には48.8,2001年度43.6,2006年度34.7となっていた.一方,女性では大きな変動はなかったが,1997年度には5.8%,2001年4.3%,2006年7.0%と寧ろ増加傾向が観察された.年齢別の成績では40歳未満と40歳代に高率で,50歳代でやや低く,60歳以上で明らかに低率であった.全国集計の喫煙率と比べると,当院人間ドック受診者は男女共に各年度を通じて数%低く,人間ドック受診者の健康意識の高さを反映していると考えられた.今後,当院でもニーズに応じて,禁煙指導等を行うことにより,健診受診者や地域住民の健康への道を支援したい.
著者
中野 誠一 岩﨑 英隆 秋月 裕則 藤井 義幸
出版者
徳島赤十字病院
雑誌
徳島赤十字病院医学雑誌 = Tokushima Red Cross Hospital Medical Journal (ISSN:13469878)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.100-104, 2010-03-25

日常診療で遭遇することが比較的まれな逆生歯の1例を経験したので報告する.逆生歯とは歯牙が正常歯列から外れ,鼻腔や上顎洞に萌出する疾患である.症例は67歳の女性.近医耳鼻咽喉科を受診した際,偶然左鼻腔内の白色隆起性病変を指摘され,精査加療目的で当科を紹介された.CTでは1.3cm×2.0cm大のhigh density areaとして認められた.鼻内内視鏡によるアプローチで隆起性病変を摘出し得た.病理組織検査により歯牙組織と確認された.
著者
大西 康貴 日浅 芳一 村上 尚嗣 中川 貴文 當別當 洋平 陳 博敏 宮崎 晋一郎 馬原 啓太郎 小倉 理代 宮島 等 弓場 健一郎 高橋 健文 岸 宏一 細川 忍 大谷 龍治
出版者
徳島赤十字病院
雑誌
徳島赤十字病院医学雑誌 = Tokushima Red Cross Hospital Medical Journal (ISSN:13469878)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.43-46, 2009-03-25

症例1は46歳女性.2007年10月に2回,食事中に失神発作があった.近医でのホルター心電図にて,最大で6.5秒間の心停止を伴う発作性房室ブロックが確認された.当院入院中にも夕食時に一致して4.5秒の発作性房室ブロックによる心停止がみられた.心エコーなどその他の画像検査でも異常は認められなかった.以上から,失神発作の原因は嚥下性失神によるものと考え,永久ペースメーカー植え込み術を行った.術後,失神の再発は認めていない.症例2は,74歳男性.10年前より年に2,3回,固い物を飲み込んだときにボーっとすることがあった.2008年4月,食事中に意識消失発作があり,近医でのホルター心電図にて,食事中に最大6.3秒間の心停止を伴う高度房室ブロックが認められた.現在,永久ペースメーカー植え込み術を勧めているところである.
著者
堤 聡 木村 秀 松本 大資 古川 尊子 松岡 裕 木原 歩美 浜田 陽子 湯浅 康弘 石倉 久嗣 沖津 宏 阪田 章聖 山下 理子 藤井 義幸
出版者
徳島赤十字病院
雑誌
徳島赤十字病院医学雑誌 = Tokushima Red Cross Hospital Medical Journal (ISSN:13469878)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.124-127, 2011-03-25

リポイド肺炎は脂肪を貪食したマクロファージが出現する肺炎であるが,一般に無症状であり胸部異常陰影にて偶然見つかることが多い.今回診断に苦慮し胸腔鏡下肺生検にて診断しえたリポイド肺炎を経験したので報告する.症例は79歳,女性.僧房弁狭窄症に対する弁置換術後のフォローアップ中に,胸部X 線像で右中肺野にすりガラス陰影の出現を認めたため当科へ紹介された.明らかな自覚症状や各種検査での異常所見を認めなかったため経過観察としていたが,初診から8カ月後に肺野陰影の増強と拡大を認めたため胸腔鏡下肺生検を施行した.病理組織像では肺胞内に浸出物と泡沫状マクロファージを多数認め,最終的にリポイド肺炎の診断を得た.症状に乏しい胸部異常陰影の鑑別疾患のひとつとしてリポイド肺炎は考慮する必要がある.
著者
笠井 利則 奈路田 拓史 上間 健造 稲次 圭 長江 浩朗 藤井 義幸
出版者
徳島赤十字病院
雑誌
徳島赤十字病院医学雑誌 = Tokushima Red Cross Hospital Medical Journal (ISSN:13469878)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.100-104, 2008-03-01

患者は59歳,男性.1992年12月より糖尿病性腎症による慢性腎不全にて血液透析を導入.その後,糖尿病性網膜症(右眼失明)・二次性副甲状腺機能亢進症(PTx)・陰嚢部フルニエ壊疽(植皮)・左下肢潰瘍(左下肢切断)を併発.2006年7月,右第1趾の難治性潰瘍・化膿性骨髄炎に対して,右下肢切断術を行う目的で近医に入院.術前検査で重症冠動脈病変を認め,当院循環器科に紹介され,冠動脈バイパス手術(心拍動下2枝)が施行された.約1カ月後,陰茎包皮の壊死・陰茎根部の疼痛が出現し,陰茎壊死との診断で陰茎全切除術を施行した.術後,疼痛は消失したが創開を生じ,洗浄処置を行った.術後3カ月経過し,陰部~両側大腿内側部の壊死性軟部組織感染症(バクテロイデスによるガス壊疽)を併発し,デブリードマンを施行したが永眠された.
著者
宮谷 友香 別宮 史朗 谷 杏奈 松井 寿美佳 岩佐 武 猪野 博保 小倉 理代 日浅 芳一
出版者
徳島赤十字病院
雑誌
徳島赤十字病院医学雑誌 = Tokushima Red Cross Hospital Medical Journal (ISSN:13469878)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.38-42, 2009-03-25

深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT)は肺血栓塞栓症の原因の1つとして重要であり,近年急速に増加している.特に,妊娠中は凝固能亢進や増大子宮による静脈圧排のためにDVT が生じやすくなっている.今回,妊娠後期にDVT を発症し,治療に苦慮した症例を経験したので報告する.症例は22歳の初産婦.妊娠37週に左大腿腫脹と疼痛を認め,左外腸骨静脈のDVT と診断し入院.ヘパリンの持続点滴を行ったが血栓の増大を認め,肺血栓塞栓症予防目的で下大静脈一時フィルターを留置した.フィルター留置後1日目に陣痛発来し,2日目に分娩となった.フィルター留置後もさらに血栓は増大し,ウロキナーゼも効果がみられず下大静脈にも血栓が及んできたため,一時フィルターを抜去し恒久的下大静脈フィルターを留置した.分娩後はワーファリン内服を開始し,産褥13日目に退院となった.
著者
松島 美穂 岡田 志保 下川 光代 古林 恵 尾田 睦美 細井 希恵
出版者
徳島赤十字病院
雑誌
徳島赤十字病院医学雑誌 = Tokushima Red Cross Hospital Medical Journal (ISSN:13469878)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.22-26, 2008-03-01

平成18年8月上旬~12月中旬に現行の1日1回電極交換を実施した患者33名(対照群)2日に1回の電極交換を実施した患者38名(実験群)を対象に,調査用紙を作成,実験群・対照群それぞれ各項目について調査を行った.電極交換日数と皮膚の状態においては,紅斑と掻痒感出現は電極毎日交換に多い傾向がみられた.また,対照群,実験群をあわせた全対象者71名中,電極かぶれが発生したのは46名の64.7であった.電極かぶれが出現する要因を明らかにするために電極かぶれの有無で比較分析を行ったところ,電極交換を毎日実施と固定方法の2点に有意差があった.電極交換を毎日実施したほうが電極かぶれが発生しやすい傾向がみられ,固定方法においては,送信機を体幹に固定している方法に比べてベッドサイドモニターのように電極コードが本体に取り付けられているものや,送信機を身につけず,ベッド上に置いてある方が有意に電極かぶれが多い結果となった.
著者
勢井 伸幸 松田 優子 妹尾 彰之 岩佐 美沙 西中 和子 森 節子 上西 知加子 仁木 寛 山下 理子 沖津 宏
出版者
徳島赤十字病院
雑誌
徳島赤十字病院医学雑誌 = Tokushima Red Cross Hospital Medical Journal (ISSN:13469878)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.56-60, 2013-03-25

フィブリンは末梢血を凝固させプラスミンという酵素で分解される.この時生成される老廃物をフィブリン分解産物(FDP)とその分画をD ダイマーという(D ダイマー分画).D ダイマーは深部静脈血栓症の重要な検査項目の一つである.今回われわれはD ダイマー偽高値の1例について文献的考察を加えて報告する.患者は50代男性.右季肋部痛を主訴に当院紹介受診された.近医の画像検査にて肋骨腫瘤,肝臓の多発結節が指摘されていた.内視鏡検査では,直腸に半周性の病変がみられ,病理組織学的に中分化腺癌と診断された.右肋骨腫瘤も組織学的に同様で,肝,肺の多発腫瘤影も直腸癌の転移と推測された.根治手術は不可能と考えられたため化学放射線療法が開始された.2週毎のD ダイマー測定が行われていたが,来院から8週目に凝固検査機器のSysmex CS-2000i にて“AntigenExcess”というエラーメッセージとともに高値再検となり,希釈再検した値はきわめて低値であった.調査結果では,試薬(リアスオート・D ダイマーネオ)と患者血清IgA 間の非特異反応による偽高値が考えられた.
著者
大黒 香 加藤 道久 當別當 庸子 箕田 直治 若松 成知 山中 明美 酒井 陽子 福田 靖 郷 律子 神山 有史
出版者
徳島赤十字病院
雑誌
徳島赤十字病院医学雑誌 = Tokushima Red Cross Hospital Medical Journal (ISSN:13469878)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.34-37, 2009-03-25
被引用文献数
1

当院は,平成18年5月に新病院に移転した.一般病棟は多床室がなくなり,個室と2床室のみとなった.院内の急変対応に関しては,コードブルー体制が運用されているが,新病院移転後の発生状況を検討し,問題点や今後の課題について検討した.平成17年から19年の3年間のコードブルー症例について診療録および看護記録からそれぞれ発生状況などの調査を行った.3年間の症例数はそれぞれ11,27,6例であり,平成18年の病院移転前後での発生が増加していた.平成18年では,発生場所は外来および中央診療部(透析室,CT室,内視鏡室)が10例,病棟17例であった.時間外が15例であった.心停止になりCPR を施行したものが18例(67%)あり,そのうちVFが3例あった.自己心拍再開率は39%(7/18)であり,心停止をきたした18例中で社会復帰症例は1例のみであった.新病院に移転した平成18年に,コードブルー件数が増加したことがわかった.病院移転や新しいシステム導入時には患者対応の遅れが危惧される.個々の症例について発生状況やその対応について十分検証していく必要性がある.
著者
松岡 浩司 阿部 浩通 今井 幸三
出版者
徳島赤十字病院
雑誌
徳島赤十字病院医学雑誌 = Tokushima Red Cross Hospital Medical Journal (ISSN:13469878)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.69-74, 2002-03-01

その病歴において両親から軟禁されるという体験があり、失立、失声等で発症した転換性障害の22歳女性症例を報告する。母親は一級身体障害者。幼少時より両親に交友関係や門限など厳しく制限されて生育した。中学生時過換気症候群を発症、高校入学後失立・失歩が出没するようになった。21歳時、恋人との交際を両親に狙反対され、自宅二階に軟禁状態となり、無断外出すると体制を与えられるようになった。この頃から失声も出現したため、近医より紹介入院(任意入院)となった。治療は①環境調整②両親への感情を患者に言語化させること、を目標とし、入院期間を限定した上で両親を含めた三者面談を頻回に行い、家族療法的アプローチを試みた。入院2ヶ月目、電話をきっかけに失声が消失したことから両親と会話が出来るようになり、その後の歩み寄りの過程で家族構造の歪みを双方が認識したことで症状が劇的に消失し退院となった。
著者
福田 靖 中山 崇 矢野 勇大 加藤 道久 郷 律子
出版者
徳島赤十字病院
雑誌
徳島赤十字病院医学雑誌 = Tokushima Red Cross Hospital Medical Journal (ISSN:13469878)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.21-25, 2013-03-25

徳島県において,2008年8月1日より県消防防災ヘリコプター(以下防災ヘリ)のドクターヘリ機能運用が開始され4年あまりが経過した.医師が防災ヘリに搭乗し,現場に赴いて傷病者に救命処置等を行い,医療機関へ搬送するもので,運用は毎日,日中のみである.県全域が搬送可能な距離にあり,医師搭乗は当院へ要請される.2012年10月9日より徳島県ドクターヘリが運航開始となり,基地病院として徳島県立中央病院が指定された.当院における医師の休日ヘリコプター待機は終了し,平日の運用もドクターヘリが主になると考えられる.当院では,休日待機終了までの4年2か月間に計146回,147名のヘリ搬送を行った.1例を除く他の傷病者はすべて当院へ収容された.搬送依頼は,当初は他院からの転院搬送が大半であったが,次第に救急隊からの直接要請が多くなった.主な搬送地域は陸路搬送でも時間のかかる県南部及び山間部からであった.疾患別では外傷が37%,脳血管疾患が35%,循環器疾患が18%であり,15例(10%)が死亡した.今後もヘリコプターの重複要請や多数傷病者発生時などで防災ヘリの利用の可能性は残り,新たな運用形態の検討が必要である.