著者
川岸基成 川渕将太 宮島千代美 北岡教英 武田一哉
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.13, pp.1-6, 2014-02-16

合唱歌唱時に生じる歌声の "引き込み" を利用して歌唱の基本周波数 (F0) を目標とする音高に誘導制御することを試みる.我々はこれまで,他者の歌声を受聴しながら歌唱したときの歌声への影響を歌声の引き込みという観点から分析し,1 つの質点と 2 つのばねで構成されるばね質量系を用いて,歌声の F0 動特性をモデル化した.本稿では,合唱歌唱の F0 動特性を表現するばね質量モデルを利用して歌唱の F0 を制御する手法を提案する.本手法では,合唱歌唱のばね質量モデルに基づき各歌唱者の引き込みの特徴を分析し,引き込みを考慮した誘導音を合成,受聴させることにより,目標音高に近づくように F0 を制御する.評価実験では,目標音高を受聴しながら歌唱した歌声と誘導音高を受聴しながら歌唱した歌声を目標音高との RMSE で評価し,誘導音高を受聴することで被験者 8 人中 5 人の RMSE が減少するという結果を得た.
著者
川渕将太 宮島千代美 北岡教英 武田一哉
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.2, pp.1-6, 2013-03-08

楽曲検索に関して,楽曲の音響情報を用いて楽曲間の主観的類似度を推定する手法について検討する.本研究では,楽曲間の主観的類似度は楽曲間の音響的類似度と聴取者の個人性により決定されると考える.本研究はこのうち聴取者の個人性に焦点を当て,聴取者間にどのような差異があるかを明らかにし,主観的類似度推定のモデルに組み込むことを目的としている.聴取者の個人性に関する先行研究の結果より,楽曲が音響的にどの程度似ていたら似ていると感じるかに大きな個人差が存在することが示唆された.本稿ではこの 「音響的にどの程度似ていたら似ていると感じるか」 を聴取者の 「許容度」 と呼び,許容度を含んだ主観的類似判定のモデルを提案する.実験では,楽曲間類似度の主観評価データを用いて聴取者の許容度を推定すると共に,実用の場面においてこの許容度を少数の類似性評価の結果を用いて推定することが可能であるかを確認する.