著者
毛利 正守
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.1-15, 2014-01-01

現在,古事記などの文章は,「変体漢文」であると一般に把握されている。「変体漢文」という呼称は,橋本進吉によって提唱され,漢文を記すことを志向しながらもその用法を誤って「変則な書き方」になったもの,それを「変体漢文」と命名した。一方,橋本は,古事記などの文章については,漢字を用い慣れるに従って日本語をも漢字で書くようになり,その文章は「変体漢文」ではなく「和文」であると把握した。それ以降の研究史を辿ってみると,橋本の道理に適った「変体漢文」という捉え方が正確に継承されず,橋本の主要な発言を見過ごし,また誤解したまま今に至っているというのが現状である。が,その捉え方がすでに長く行われているのだからそれでよしとするのではなく,もう一度,理に適った論に立ち返り,考え直すべきであると筆者は考える。本稿は,研究史の実態を炙り出すところにその主眼をおき,あわせて研究史と関わらせつつ倭(やまと)文体についてとり挙げることにする。
著者
毛利 正守
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.1-15, 2011-01-01

筆者は,これまでに字余りをいくつかの視点から眺めてきたが,本稿では,脱落現象という観点を導入して字余りを生じる萬葉集のA群とB群の違いを追究した。その際,唱詠の問題が関わるかも知れない和歌の脱落現象は除外し,あくまで散文等の脱落現象をとり挙げ,それと字余りとを比較するといった立場をとっている。A群もB群も唱詠されたものとみられるが,B群は,散文の脱落現象と同じ形態または近似した形態のみが字余りとなっており,A群は,基本的に脱落現象とは拘わらずいかなる形態も字余りをきたしている。散文における脱落現象というものは,日常言語に基づいた音韻現象の一つである。これらを総合的にとらえて,B群の字余りは,音韻現象の一つであると把握し,A群の字余りは,日常言語のあり方とは離れた一つの型として存する唱詠法によって生まれた現象であると位置づけた。
著者
是澤 範三 毛利 正守 蜂矢 真郷 山口 真輝
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

日本統治時代、台湾に多くの日本古典籍が渡った。その中でも、国立台湾大学(旧台北帝国大学)には『日本書紀』の多くの貴重な写本がある。本研究では、国立台湾大学における『日本書紀』の収蔵状況について調査し、特に貴重な三本を選び出版する。第一弾として圓威本『日本書紀』が2012年に台湾大学図書館より出版される。