著者
宗村明子 藤崎公達 成田雄一 鈴木拓也 馬場玲子 毛利悦子 西井優瑠
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
vol.35, 2016

<p>【はじめに】症例は夜勤業務に就労しており,治療継続に問題が山積していた.症例に対し多職種が関わることで,身体機能や治療へのモチベーションの向上と治療効果の一助となったので報告する.</p><p>【症例・経過】50 歳代男性.健康診断で高血糖を指摘され当院受診,血糖コントロール不良にて糖尿病と診断され,初めての糖尿病教育入院となる.症例は夜勤業務に就労しており,昼夜逆転の生活を約20 年続けていた.入院初期より運動や治療に対するモチベーションが低く受動的であった.理学療法介入,多職種との情報共有,各職種による個別指導を行った.なお,症例に対し主旨を文章にて説明し記名による同意を得た.</p><p>【方法】運動指導,生活スタイルの聴取により退院後の運動プランの作成を行った.また,看護師によるインスリン自己注射指導,栄養士による栄養指導,薬剤師による薬剤指導,作業療法士による精神・心理面への介入,カンファレンスで多職種と情報共有を行った.そして,退院後は外来受診時に経過確認を行った.</p><p>【結果】入院時体重:63kg から60kg へ減量,入院時HbA1c:9%から6.6%へ改善し,3kg の減量,血糖コントロールの改善の一助となった.また,作業療法士の介入により,精神・心理面の変化があり,治療へのモチベーションの向上がみられ,運動介入においても自らプランを立て,退院後継続することが出来た.</p><p>【考察】理学療法介入に加えて,多職種との情報共有,各職種による個別指導を行った.結果,治療へのモチベーションの向上が確認され,自ら夜勤帯から昼間の仕事へ変更するなど,治療に前向きに取り組む姿勢が見られた.多職種協同で関わることで,専門的視点から,患者の異なる生活スタイルに合わせたアプローチが可能となる.そして,身体機能の変化や血糖コントロールの改善,治療へのモチベーションの向上により,患者自身も生活スタイルの変更を行い,治療へ前向きに取り組むことが出来,多職種協同で関わる重要性を再確認する一例となった.</p>