- 著者
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水島 俊一
山田 英一
- 出版者
- 日本応用動物昆虫学会
- 雑誌
- 日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
- 巻号頁・発行日
- vol.18, no.2, pp.81-88, 1974
- 被引用文献数
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北海道のほぼ中央部に位置する長沼地方の農耕地および周辺におけるネズミ類の種類構成と食性を調べ,それらの生態的地位などを考察した。<br>1. 1969∼1972年の4年間にわたり水田,畑および周辺非農耕地にて毎年3回の捕殺および生捕り調査を行ない,捕殺個体については胃内容物を分析して食性をみた。<br>2. 北海道に生息する4属8種のネズミ類のうち6種が捕獲された。捕獲数の合計はエゾヤチネズミ,カラフトアカネズミ,ドブネズミ,ハツカネズミ,ヒメネズミ,エゾアカネズミの順になっている。<br>3. ドブネズミとハツカネズミの食性は似ており,イネを中心に作物も好食する。しかし前者は水田,排水溝や休耕田に多く,後者はカボチャ,エンバクなどの畑に集まり両者の行動範囲は重なっていない。<br>4. エゾアカネズミとヒメネズミは本来森林性のネズミであり,農耕地へは一時的に侵入したものと思われ捕獲数も少ない。食性にも大きな差はなく動物質や若干の作物を含む植物の種実が主体である。<br>5. カラフトアカネズミは全道的な分布や生態にまだ不明の点が多い。農耕地で捕獲される割合が多く,食性は動物質とともに,イネやエンバクなどの作物の摂取が多い。本州のアカネズミと似た生態的地位にあると考えられる。<br>6. エゾヤチネズミは森林や草原はもとより農耕地とその周辺にも数多く分布しているが,農耕地での捕獲割合は他種にくらべて低い。<i>Microtus</i>属のいない北海道でハタネズミと似た生態的地位を占めていると考えられる。