著者
福永 俊晴 永野 啓 金谷 利治 水谷 宇一郎
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.53, no.10, pp.665-669, 1996
被引用文献数
1

機械的に試料を叩くというメカニカルミリング法を用いて, これまで完全な非晶質にならなかったポリビニルアルコール (PVA) を非晶質化させた, その結晶相を表すブラッグピークはミリング時間とともにその強度が減少し, 完全な非晶質相を表すハローパターンとなった. 密度の減少ならびに非弾性散乱データにおける「低エネルギー励起」の増大も観察された. この結果によりメカニカルミリングによりPVAも非晶質単相となることが分かった. さらに, 構造因子<I>S</I> (<I>Q</I>) をフーリエ変換し求めた相関関数を種々の相関距離で逆フーリエ変換することにより, 実空間上の乱れの距離を明らかにした. ミリングの練り込み効果により, <I>S</I> (<I>Q</I>) を再現できる相関距離は短くなり, 乱れが増大することが明確となった.