著者
三宅 陽一郎 水野 勇太 里井 大輝
出版者
日本デジタルゲーム学会
雑誌
デジタルゲーム学研究 (ISSN:18820913)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.1-12, 2020 (Released:2021-07-01)

デジタルゲームにおけるキャラクターの頭脳である「キャラクターAI」、パス検索など環境を認識する「ナビゲーションAI」と並んで、ゲームAIの柱の一つとなりつつある「メタAI」について、その概念の歴史的形成を探求する.メタAIはゲーム全体を動的にコントロールする人工知能である.「メタAI」という言葉が使われたのは2005年以降のことであるが、メタAI的なアイデアは80年代のゲーム開発の中からあり、現代ではその発展した形で生き続けている.また,2008年以降、メタAIとほぼ同じ意味でAI Directorがあり、現在はこの両者が混在している状態である.本論文では、これまでまとめられることのなかった両者の概念の形成と実装具体例を追いつつ、メタAIとAI Directorがカバーする領域と役割の差異を明確にし、現時点での定義を行う.メタAI、AI Directorの研究・開発の歴史的経緯と定義を提供することで、今後のメタAI、AI Directorの研究・開発の礎となることを目的とする.