著者
上野 博司 細川 豊史 山下 智充 廣瀬 宗孝 水野 省司
出版者
Japan Society of Pain Clinicians
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.446-450, 2002

Epiduroscopy 施行時では, 癒着剥離のために比較的大量の生理食塩液 (以下: 生食) を硬膜外腔に注入するため, 脳脊髄圧が上昇し頭痛などの合併症が起こるとされている. われわれの施設ではこの合併症を予防するため, 頸部硬膜外カテーテルを挿入し硬膜外腔圧と頭痛発症との相関について検討を行っている. Epiduroscopy 施行中に頭痛を訴えた2症例につき, この頸部硬膜外腔圧変化曲線を解析, 検討した結果, 特に癒着剥離時の痛みに伴う体動, 癒着剥離後の生食の急速注入によって圧が過剰に上昇し, 80mmHg以上になると頭頸部の圧迫感や疼痛を訴えること, 生食の注入を一時的に停止すると1~2分以内に圧は元のレベルまで回復することなどが明らかになった. Epiduroscopy 施行時に頸部硬膜外腔圧をモニターしながら処置を行うことは, 脳脊髄圧元進に伴う合併症の発現とそのメカニズムの解明に有用と考えられた.