著者
永井 恵子
出版者
一般社団法人 日本統計学会
雑誌
日本統計学会誌 (ISSN:03895602)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.23-60, 2019-09-30 (Released:2020-04-02)
参考文献数
29

2019年4月1日から,勤務の終業時刻と翌日の開始時刻の間に一定の休息時間を確保し,過重労働による健康被害を防ぐことを目的として,勤務間インターバル制度の導入が企業の努力義務として課された.そこで,本分析では,社会生活基本調査のミクロデータから,最初に,勤務間インターバルの実態について,労働者の属性などとどのように関連しているかを明らかにする.その分析結果を踏まえて,勤務間インターバルの長さや開始時刻が健康にいかに影響するかについて分析する.全国の世帯を対象とした統計調査のデータに基づいて,勤務間インターバルの長短等の健康状態への影響を分析した初めての分析である.その結果,性別以外に,フレックスタイムなどの勤務形態,学歴,職業が勤務間インターバルに関連があることがわかった.また,勤務間インターバルが短くなるほど,健康状態が悪くなる確率が高くなり,通勤時間を加味するとその傾向は顕著になる.年齢のほか,有給休暇の取得日数,勤務間インターバルの開始時刻も健康状態に影響を及ぼすことがわかった.