著者
山川 正 鈴木 淳 永倉 穣 重松 絵理奈
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.28-33, 2015 (Released:2015-06-29)
参考文献数
33
被引用文献数
1

糖尿病患者の不眠の頻度は高く,睡眠の質の低下はHbA1c の上昇との関連が認められており,不眠の改善が重要である。今回,酸棗仁湯が2型糖尿病患者の不眠に有効であった2症例を経験した。症例1は58歳男性。罹病期間10年の糖尿病で,インスリンにてHbA1c は7%代であった。数ヵ月前より不眠となり,酸棗仁湯を投与し2週間で不眠は消失した。症例2は79歳男性。罹病期間15年の糖尿病で,経口薬にてHbA1c は7%代。1年前より不眠症となり,酸棗仁湯投与にて,不眠は徐々に改善した。酸棗仁湯は2型糖尿病患者の不眠に有用であると思われた。