著者
永坂 岳司
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.75, no.10, pp.453-460, 2022 (Released:2022-10-28)
参考文献数
15

大腸癌は,遺伝性大腸癌症候群と非遺伝性の大腸癌に大別され,また,分子生物学的特徴からhypermutant phenotypeとnon-hypermutant phenotypeに大別される.特に,hypermutant phenotypeの大多数を占めるミスマッチ修復蛋白欠損大腸癌に対しては,外科的切除を要さずにImmune checkpoint inhibitorの投与のみで根治可能な時代が到来している.この驚くべき進歩は,包括的がんゲノムプロファイリング(CGP)検査を治療前検査へ誘導し,検査対象者を大腸癌患者全例へと拡大させる.本稿では,このCGP検査に伴う二次的所見に今後関与するであろう,遺伝性大腸癌症候群の原因と考えられる生殖細胞変異に焦点を当て,現在までにわかってきていることを概説する.