著者
大石 晃史 永富 康司 鈴木 康司
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.108-112, 2019
被引用文献数
6

<p>飲料中への意図的な植物毒の混入を想定し,LC-MS/MSを用いた植物毒一斉分析法を開発した.分析対象には日本で中毒事例の多い,もしくは過去に事件に用いられた植物毒18成分を,分析試料にはビール,焼酎,ブレンド茶,缶コーヒー,乳性飲料を選択した.分析成分の抽出および精製にはQuEChERS法を用いた.バリデーション試験の結果,日内精度,真度,回収率について良好な結果が得られた.いずれの成分も5~200 ng/mLの範囲で良好な直線性を示し(<i>r</i>>0.990),低濃度での検出が可能となった.</p>
著者
山下 梓 篠原 雄治 坂井 浩晃 宮本 靖久 鈴木 康司 永富 康司
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.41-46, 2020-02-25 (Released:2020-04-24)
参考文献数
9

レトルト殺菌を受けた人毛DNAは,湯せんや電子レンジ加熱と比較して著しく断片化することから,この断片化をPCRで検出することでレトルト殺菌履歴の判別,すなわち人毛が工程内で混入したか否かを判断できると考えた.ヒトDNA特異的検出プライマーとして,レトルト殺菌判別には増幅産物長約500 bp,DNA抽出確認用に増幅産物長約200 bpとなるプライマーセットをそれぞれ設計し,微小な人毛でも評価できるようにした.増幅産物はアガロースゲル電気泳動後,蛍光染色で可視化した.混入モデル試験として,人毛をレトルト殺菌し,その抽出DNAを鋳型にレトルト殺菌判別用プライマーセットでPCRを行った結果,DNA増幅は認められず,非加熱,湯せん,電子レンジ加熱では増幅が認められた.また,DNA抽出確認用プライマーセットではいずれの加熱条件においてもDNA増幅が認められた.一方,人毛以外の混入も想定して,脊椎動物共通プライマーも同様に設計し,9種のペットや家畜由来DNAを検出できることを確認した.本手法はレトルト殺菌を受けた人毛DNAの熱分解を特異的に検出でき,レトルト食品中に発見された毛様異物の混入時期推定に有用な分析手法であると考えられた.