著者
山之上 裕一 永山 克 尾藤 峯夫 棚田 詢 元木 紀雄 三橋 哲雄 羽鳥 光俊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.9, pp.2522-2531, 1997-09-25
被引用文献数
21

立体番組の撮像においては, 左右カメラの空間的配置やレンズの焦点距離の違いによって, 左右画像間で垂直のずれや傾きのずれあるいはサイズのずれといった幾何学的ひずみが生じる. 本論文ではまず, 最近の立体ハイビジョン番組中の種々の画像を対象に, 幾何学的ひずみがそれぞれ独自に生じた場合の検知限, 許容限を求める. 同時に, その結果に関して, 一般画像間では有意な差が認められなかったことを示す. 次に, 実際の番組収録に照らし合わせて, 幾何学的ひずみが複合して生じた場合についての検討を, 一般画像を対象に行う. そして, 実際に加えた幾何学的ひずみ量から直接その検知限, 許容限を推定する重回帰モデルよりも, 加えた幾何学的ひずみにより生じる対応点のスクリーン上での垂直および水平方向のずれ量から, 検知限, 許容限を推定する重回帰モデルの方が, より汎用性があると同時に分析精度が高いことを示す. 更に, 画像ごとに得られた重回帰式をより一般化することを目的に, 平行性および位置の検定を行い, これらの重回帰式が一つの重回帰式にまとめられることを示す. 最後に, 得られた重回帰式に基づき, 番組収録時の左右カメラの配置・調整のガイドラインについて報告する.