著者
京谷 琢治 室月 淳 永岡 晋一 大塩 清佳
出版者
一般社団法人 日本周産期・新生児医学会
雑誌
日本周産期・新生児医学会雑誌 (ISSN:1348964X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.398-403, 2020 (Released:2020-12-10)
参考文献数
12

2014年から2019年の6年間に院内緊急輸血マニュアルに従い緊急輸血した産科12症例について後方視的に検討した.高年初産婦が3/12例(25.0%),双胎妊娠が4/12例(33.3%)など,出血のリスク因子を有する症例が多く,原因は弛緩出血が5/12例(41.7%)と最多であった.8/12例(66.7%)が夜勤帯で発生していたものの,緊急輸血決定から輸血開始までの平均時間は,RBCが11.0分,FFPが38.2分で,過去の報告と比べても短時間であった.輸血後には7/12例(58.3%)が高次施設へ搬送となっていた.本マニュアルにより可及的速やかでかつ安全に血液製剤が投与されていたが,検査技師の負担軽減など,改善すべき点もみられた.施設毎の規模や対応力は異なるため,当院と同じような背景をもつ施設から実情や取り組みが報告されることで,今後より良い指針が策定されることを期待したい.