著者
伏見 章 山岡 秀樹 永田 耕一 鹿野 美弘 井口 敬一
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.324-332, 2017 (Released:2018-02-07)
参考文献数
11
被引用文献数
3

慢性腎臓病に対する薬物療法の主体は西洋医学的治療であり,東洋医学的アプローチの推奨は記述されていない。 今回,腎炎・腎機能改善作用が報告されている単一成分の生薬“黄耆”に着目し,使用経験を解析し臨床的な特徴を検討した。対象症例は22例で性別,75歳以上,未満,CKD 罹患期間,開始1年前の推算GFR(eGFR)低下速度,開始時の蛋白尿の存在,糖尿病の有無に関係なく,全ての患者においてeGFR 値の改善を認めた。さらに診察室血圧変動幅と尿蛋白定性も改善を認めた。黄耆は,臨床的な特徴,重症度,原因疾患に関係なく,CKD に対し有効で安全に使用できる可能性がある。