- 著者
-
永見 倫子
- 出版者
- 日本保健科学学会
- 雑誌
- 日本保健科学学会誌 (ISSN:18800211)
- 巻号頁・発行日
- vol.22, no.1, pp.16-21, 2019 (Released:2019-12-25)
- 参考文献数
- 9
3 歳以下の乳幼児を育児中の女性115 名に対しアンケート調査を行い,産後,特に
産褥期以降の乳幼児の育児にあたる時期の不調・疼痛の実態把握を目的に調査を行った.
産後の疼痛は腰部71.3%で最も多かった.また頸部38.3%,肩56.5%,手首31.3%など
では妊娠中と比較し有意に増加していた(P < 0.01).最も疼痛の強い時期は子の定頚前
33.0%が最多で,疼痛の出る動作は抱っこや授乳など育児関連の動作が選択された.産後
の身体のケアについての指導は産科で行われることが多く,理学療法士の介入は0%だっ
た.一方,正しい身体の使い方や疼痛予防のための運動指導などの希望は多かった.
産褥期のみならず育児期にかけて多くの女性が疼痛に悩まされていること,介入や対策
は不十分であることが明らかとなった.疼痛は特に乳児を支える時期や動作で多く,育児
の負荷が原因である可能性が高い.疼痛予防のための運動指導や育児の動作指導など,理
学療法士介入の必要性が示唆された.