- 著者
-
永見 和之
- 出版者
- 公益社団法人 日本薬理学会
- 雑誌
- 日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
- 巻号頁・発行日
- vol.130, no.5, pp.403-407, 2007 (Released:2007-11-14)
- 参考文献数
- 4
過去の薬害事件から学ぶように,新規医薬品の開発において,安全性を正しく評価することが極めて重要ですが,試験データそのものは実体がなく,その信頼性は品質管理システムと品質保証システムの考え方を取り入れたシステムによってのみ保証することが可能であり,そのことが承認申請資料に用いられる非臨床安全性試験にGood Laboratory Practice(GLP)が適用される理由です.GLPはソフトとハードの両面から遵守すべき事柄を規定したものといえ,その基本構成は,責任体制の明確化,試験方法の標準化,信頼性保証部門の設置,適切な施設設備・機器の使用と管理です.運営管理者は信頼性の高い組織の構築と運営を行い,試験責任者は試験の実施過程において信頼性確保に努め,信頼性保証部門責任者はその信頼性を第三者的に保証します.各GLP施設は(独)医薬品医療機器総合機構による定期的なGLP適合性調査を受け,安全性試験の信頼性が評価されています. 医薬品開発におけるGood Laboratory Practice(GLP)とは,新規医薬品の承認申請資料として用いられる非臨床安全性試験において,その試験の重要性からデータの信頼性をシステムとして保証するためにソフトとハードの両面から規定を定めたものといえます.GLPは医薬品の他,医療機器,化学物質,農薬,動物用医薬品および飼料添加物にも適用され,薬事法,農薬取締法,化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法),労働安全衛生法(安衛法)などを根拠として所轄省庁の省令で定められ,それぞれの目的に応じてGLP適用試験の種類が定められています.ここでは,医薬品GLPを中心にGLPを概説したいと思います.