著者
奈良 間功 永谷 真理子 土谷 稔 稲垣 晴久
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.549-555, 1985-08-15
被引用文献数
1

日本モンキーセンターにおいて飼育・維持されているゲルジーモンキー(アマゾン流域森林に棲息する希少な小型猿)の小コロニー由来成熟動物4例の肝臓にミエロリポーマが認められ, 病理組織学的には正常な骨髄組織から構成され異型性を伴わなかった. 同種猿の新生仔および胎仔諸臓器を検索して正常な髄外造血巣との形態学的比較を試みたところ, ミエロリポーマの組織像は胎仔あるいは新生仔の肝臓における髄外造血巣とは明らかに異なり, 本腫瘍を持つ成熟動物には慢性貧血の証拠は得られなかった. この腫瘍が比較的多発した原因として, 動物の遺伝的背景の近似性, 飼料・飼育環境等の環境因子の同一性が考えられた.