著者
星野 裕司 永野 謙一 小林 一郎
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.347-358, 2002-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
9
被引用文献数
1

本研究では、環境の可能相に対する複眼的把握を検討するため、明治期の沿岸要塞における砲台配置と眺望景観の関係について考察した。全国の11要塞・124砲台に対して、3つの視点により分析を行った。まず、事象からの誘目性の程度によって、砲台の役割を4つに類型化した。次に、射撃方法及び距離比の2点から砲台の性能を4つに類型化した。以上を統合し、砲台の配置パターンを4類型抽出した。最後に、先行研究における知見を参照し、九州内の砲台群において、観察者-事象-地形の関係を砲台のネットワークとして考察した。その結果、5種類の関係が抽出され、事象の想起性や参画性のメカニズムを3者の関係として明らかにした。