著者
濱谷 清裕 江口 英孝 伊藤 玲子 本田 浩章 小山 和章
出版者
公益財団法人放射線影響研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

放射線甲状腺発がんにおけるEML4-ALK融合遺伝子の役割を検証するために、不死化ヒト甲状腺上皮細胞の生体外X線照射実験とこの融合遺伝子を持つコンディショナルトランスジェニックマウスを用いた発がん実験を行った。X線照射では、線量に比例してEML4-ALK融合が形成されることより、原爆被爆者甲状腺乳頭がんでのEML4-ALK融合遺伝子は放射線により生じたものと示唆される。他方、得られたトランスジェニックマウスのEML4-ALK融合遺伝子発現レベルは高くなく、そのようなマウスでは甲状腺がんは形成されなかった。甲状腺発がんには、少なくともこの融合遺伝子の高レベル発現が必要であると考えられる。
著者
濱谷 清裕 伊藤 玲子 江口 英孝 早田 みどり 早田 みどり 江口 英孝
出版者
財団法人放射線影響研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

放射線関連成人甲状腺乳頭癌の遺伝子変異に関する特徴を明らかにするため、発癌の初期段階に生じる遺伝子変異に焦点を当て解析を行った。被曝線量の増加に伴い、RET遺伝子の3'部位が別の遺伝子の5'部位に結合したキメラ遺伝子(RET/PTC再配列)を持つ症例の頻度が有意に増加し、他方散発性(放射線被曝のない)成人甲状腺乳頭癌で頻繁に検出されるBRAF点突然変異を持つ症例は有意に減少することを見出した。