著者
江崎 昌俊 久米 進一郎 高橋 勝三 里見 昭 石田 清
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.112-116, 1980-01-01 (Released:2009-03-31)
参考文献数
11

乳幼児腸重積症402例(特発性は395例)でそのうちの15例に再発を認めた.性比は男12人,女3人である.最終再発時年齢は5カ月から3歳7カ月までで平均10カ月であった.再発までの期間は初回整復後の翌日から2年に及んだが, 1回めの再発が6カ月以内に発生したものが12例(80%)を占めた.再発回数では1回再発が13例で大部分を占め, 2回再発が1例, 9回再発が1例である. 9回再発例は2歳を過ぎて再発防止の手術を行なったにもかかわらず,術後さらに3回も再発を繰り返した後,自然に再発をきたさなくなったものである.経験例と文献的考察から, 2歳までは非観血的療法を重視し, 2歳を過ぎて再発をみた場合には開腹精査の適応と考え,器質的疾患の有無を術中検査し,特発性の場合,再発防止の手術としては本症の成立機転に腸管の異常可動性,回盲部の固定不十分が主な条件であることを考慮すると,回腸と上行結腸間の最低10cmにわたる広汎な固定が必要であると思われる.従来慣習的に行なわれてきた上行結腸と回腸間の2~3針のみの固定, ileocolic bandの切離,虫垂切除などは再発防止の普遍的手術とはなりえないことを確認した.