著者
江藤 寛子 佐々木 ノピア
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.92, no.2, pp.88-92, 2010
被引用文献数
4

近年, 温室効果ガス削減対策の一つとして, 再生可能エネルギーであるバイオマスの利用が注目されている。本稿では, 木質バイオマス利用による発電に着目し, 発電量が堅調に増加傾向である欧州各国 (ドイツ・スウェーデン・オーストリア・イタリア) における, 再生可能エネルギー政策に関する分析を行い, 木質バイオマス利用促進のために, 日本が導入するべき政策の検討を行うことを目的としている。分析の結果, 欧州各国の共通する政策として, 電力市場の全面自由化, 再生可能エネルギー利用による電力を優遇固定価格で買い取る制度, 優遇税制措置が導入されており, 木質バイオマス発電量が増加している。一方, 日本においては, 欧州と比較して, 木質バイオマス利用における促進政策が十分ではなく, 木質バイオマス発電が普及していないと考えられるため, 実質的な優遇制度の導入が必要であると考える。