1 0 0 0 OA 小腸腫瘍8例

著者
江里口 直文 西田 博之 久保田 治秀 原 雅雄 吉田 浩晃 星野 弘也 木通 隆行 中山 和道 大石 喜六
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.23, no.10, pp.2438-2441, 1990-10-01

今回11年間(1977年〜1987年)の小腸腫瘍自験例8例について検討し,また本邦における5年間(1981年〜1985年)の剖検例の検討を行なう機会をえたので報告する.8症例のうちわけは悪性リンパ腫3例,平滑筋肉腫1例,未分化癌1例,脂肪腫2例,平滑筋腫1例であった.症例の検討では穿孔例(悪性リンパ腫3例,平滑筋肉腫1例)を除く4例の主訴は,脂肪腫の2例で腹部膨満感および下腹部痛のように比較的軽度な症状を示し,平滑筋腫では下血を,また未分化癌では悪心,嘔吐および高度の腹痛であった.いずれも経口的小腸透視で術前病巣診断が可能で,病変部はTreitz靭帯近傍および回腸末端部であった. 日本病理剖検輯報少こよると発生頻度は0.2%〜0.4%と非常に低く年次的推移に特徴的なものはなく,組織型では癌腫,悪性リンパ腫,筋原性腫瘍が多かった.