著者
池上 洵一
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.64-72, 1986-02-10 (Released:2017-08-01)

既成の話型を用いて成立している説話は、事実をそのまま語っているわけではないが、決して自由な虚構ではないから、虚構の文学としては限界がある。しかしまた、説話は独特の人間追求の方法を備えている。説話形成者の認識はまず語型の選択を通して示され、伝承者の認識は個々の表現として顕在化されて、両者の相乗効果によって人間の追求が深められる。『世継物語』の藤原高藤説話はその典型的な例である。
著者
池上 洵一
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.64-72, 1986

既成の話型を用いて成立している説話は、事実をそのまま語っているわけではないが、決して自由な虚構ではないから、虚構の文学としては限界がある。しかしまた、説話は独特の人間追求の方法を備えている。説話形成者の認識はまず語型の選択を通して示され、伝承者の認識は個々の表現として顕在化されて、両者の相乗効果によって人間の追求が深められる。『世継物語』の藤原高藤説話はその典型的な例である。