著者
中根 明夫 差波 拓志 池島 進
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.479-484, 2005-08-25 (Released:2009-02-19)
参考文献数
26
被引用文献数
1 1

レプチンは, 摂食時に脂肪細胞から産生され, 視床下部を介して摂食抑制, エネルギー消費の亢進など多彩な生理作用を示す。一方, レプチンは炎症など免疫学的刺激でも産生され, サイトカインを介して, T-helper 1型の免疫応答の誘導や炎症反応の惹起に関与するなど, 免疫応答にも深く関与することが明らかとなってきた。レプチン遺伝子あるいはレプチンレセプター遺伝子が変異を起こしているob/obマウスやdb/dbマウスは, レプチンによる摂食抑制が起こらず肥満から2型糖尿病を発病する。これらのマウスは肺炎桿菌やリステリアといった細菌感染に対する抵抗性が減弱しており, その原因としてマクロファージの機能やケモカイン産生性の低下が示唆された。レプチンに着目した研究は, 糖尿病など肥満を基盤とした生活習慣病の易感染性の機序の解明に貢献するものと考えられる。