著者
渡辺 慎二 池本 浩幸
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.6_19-6_26, 2015-03-31 (Released:2015-07-31)
参考文献数
12

大規模企業のインハウスデザイン部門(デザイン部門と略す)は,事業活動を優位に進めるために,限られたデザインリソース(人や活動費用)を使い,多様な分野でパフォーマンスを最大に発揮することが常に求められる。事業の目的に沿って如何に質の高いデザイン業務を効率的に行うかの視点が常に重要である。そのため,デザイン部門の規模が大きい程,デザイン業務の把握と管理は難しくなる。 本研究では,この課題に対して,デザイン業務に関する時間(工数)に着目し,デザイン部門の業務を定量的に把握する仕組みと部門マネジメントの統一指標の策定によって,デザイン業務管理プロセスを改善する方法を提案した。提案内容は,(1)業務プロセスの見える化,(2)業務プロセスの品質を低下させる要因の特定,(3)業務管理データの決定と運用方法の策定,の三段階で構成される。実業務に本方法を適用した結果,本方法がデザイン部門の効率改善に有効であることを確認した。
著者
池本 浩幸
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第63回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.124, 2016 (Released:2016-06-30)

イノベーション創出に資する人材の育成では,実際の体験で裏づけられた確信を伴う実践知の獲得が重要であり,プロセスや手法の本質を理解した上で,既存の方法にこだわらず,顧客や環境などに応じて柔軟かつ大胆な発想で取り組めるようにすることが大切である.革新性のあるサービス創造をテーマとしたProject based learning型教育の初期段階において,学修者が教育での学びについて自身を顧客と捉えた共感的リサーチを行いチーム内で議論することによって,筆者が指導している教育の一事例ではあるが,学修者がサービスデザインで行う顧客コンテキストの共感的理解の本質や重要性を事前に体得することができることを確認した.また,リサーチ結果をプロジェクトチーム内で共有・議論することによって,個々のプロジェクトメンバの学びに対する考えの背景にある様々な欲求や困りごとを相互に理解し合うことができ,チームビルディングを円滑に進めることができた.この方法がプロジェクトの進行や成果物の革新性にどのように影響したのかについて,教育が終了した時点で学修者に調査を行い,方法を改良していくことが課題である.