著者
高橋 良彰 池松 龍介
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.120-123, 2006

ポリビニルアルコール (PVA) とポリアルギン酸ナトリウム (ALG) の混合系で, ALG組成を2.4, 9.1, 16.7 wt%と変化させたフィルム試料をキャスト, 乾燥後, 濃度の異なるCaCl<sub>2</sub>水溶液に浸漬して作製した相互侵入網目 (IPN) の力学的性質を引張り試験で検討した. ALGの架橋に由来するヤング率の増分&Delta;<i>E</i>は, ほぼすべてのALGモノマーがCa<sup>2+</sup>と結合するまでCaCl<sub>2</sub>水溶液の濃度の増加とともに単調に増加した. より濃い溶液に浸漬した場合, &Delta;<i>E</i>はほぼ一定となり, その値はALGの重量分率にほぼ比例した. 今回用いた重合度程度までのPVA/ALG混合系ではALGの重量分率20%弱までは組成比によってヤング率をある程度制御でき, またALGの架橋の程度はゲル化させるのに用いるCaCl<sub>2</sub>水溶液の濃度によってある程度は制御できることが明らかになった.