著者
池田 奈実子
出版者
日本茶業技術協会(農林省茶業試験場内)
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.75, pp.13-17, 1992

1) クローズド・パネルによる煎茶の官能審査法について検討した。8品種の一番茶を試料として用いた。審査経験のほとんどない11名を含む野菜茶試職員及び依頼研究員14名をパネルとした。評価は,1人ずつ香気,滋味について10点満点で行ったが,パネル間の採点の平均,分布にばらつきがみられたので,順位づけを行って解析した。パネル14人のKENDALLの一致係数は,香気,滋味とも統計的に有意で,パネルの間には,共通の好みがあるといえた。審査経験のあるパネルの判定はよく一致した。この方法は,一般的な嗜好を調査する場合に有効な方法であると考えられた。<BR>2) 試験場一般公開日の参観者129人を対象として,新品種'めいりょく','おくゆたか',主要品種'やぶきた'の嗜好調査を行った。評価は順位法で行った。'やぶきた','おくゆたか','めいりょく'の順で好む人が最も多かったが,年齢により,嗜好に差がみられた。
著者
池田 奈実子 渡瀬 隆也
出版者
日本茶業学会
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.2016, no.122, pp.9-14, 2016-12-31 (Released:2019-01-01)
参考文献数
22
被引用文献数
1

国内で生産される茶の種類が多様化した場合の適正な含水率の知見を得るために,中国茶の含水率と水分活性を測定した。また,中国及び台湾産の紅茶と他の産地の紅茶の含水率及び水分活性の比較を行った。中国茶の茶種間で含水率に差が認められた。白茶,黒茶の含水率は青茶,緑茶,紅茶より高かった。中国産の紅茶の含水率の平均値は8.73%で,ネパール,インド,日本産の紅茶の含水率より高かった。青茶は含水率のばらつきが大きかった。緑茶,青茶,紅茶,黒茶においては茶の含水率と水分活性の間に正の相関関係が認められ,含水率が高いほど,水分活性が高い傾向が認められた。黒茶は青茶,白茶,紅茶に比べて同程度の含水率の場合は水分活性が低い傾向が認められた。ほとんどの中国茶の水分活性は0.6前後より低く,含水率が12%程度までは微生物は繁殖できないと考えられた。