著者
池知 大輔 山下 進
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
巻号頁・発行日
pp.11-17, 2020-01-01

脳卒中症例では,非感染性の発熱を伴うことが多く,神経原性発熱あるいは中枢性発熱と呼ばれる。これは視床下部に存在する体温調節中枢の障害によるものと考えられている。視床下部に障害がなくても,脳脊髄液腔に出血があるとプロスタグランジンE2が産生され,生理的な体温上昇が生じる。 脳卒中症例では,急激な心機能低下を伴うことも多い。これは自律神経を介するカテコールアミンサージによって心筋障害を生じるためと考えられている。特に,自律神経ネットワークの中心に位置する島皮質の障害があるとリスクが高くなる。 くも膜下出血に伴う血管攣縮の原因は,いまだに解明されていない。単純な脳主幹血管の攣縮だけでなく,微小循環障害なども遅発性に生じる虚血性障害の一因と考えられている。