著者
大川 由子 稲垣 勝彦 河内 光義
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.55, no.8, pp.635-641, 2004-08-15

胴部モデルから得られた袖ぐり線の情報を基に胴部モデルと袖部モデルの接合の問題を再検討した.このとき,袖は上部,下部に分けて考察した.得られた結果は以下のようである.1.袖下部については,袖モデルの展開図と袖原型の袖山曲線とが一致した原型は取り上げた18種中11種であった.この結果は胴部の袖ぐり形状を採用することにより袖モデルが改良されたことを示している.2.袖上部については,E原型を除いて袖モデルの展開図と袖山曲線とが一致したものはなかった.しかし,これは本モデルおよび原型の不合理性を意味するものではなく,袖原型が自由度のあるいせ込みを見込んでいるのに対して本袖モデルはいせ込みをダーツに置き換えているためである.言い換えれば両者の違いはそれぞれが想定する削節立体殼への接合形状の違いを意味すると考察した.3.本袖モデルの展開曲線は袖原型から形成される袖を胴部立体殼に接合したときの形状を評価する指標として有効であることを示した.