著者
岡部 和代 黒川 隆夫
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.731-738, 2003-09-15
参考文献数
11
被引用文献数
4 or 0

着心地の良いブラジャーの設計や新しい設計システムを構築するためには,複雑に動く乳房の運動機構やブラジャー着用に伴う乳房振動特性の変化を明らかにしておくことが重要である.そこで,本研究では半透明なブラジャーを用いて,運動画像解析システムにより,ブラジャー着用時と非着用時の走行中と歩行中の乳房の動きを計測した.乳房の動きから体幹部の動きを分離し,乳房独自の振動データを抽出した後,離散フーリエ変換によって分析した.その結果,乳房の振動は歩行周期の影響を直接に受け,走行中が歩行中より,垂直方向が水平方向より大きくなった.ブラジャー非着用時の垂直方向の振幅は歩行周波数で最大となり,体幹部の運動の影響を強く受けることが分かった.非着用時の乳房振動は乳房の硬さ指標と相関が高く,柔らかい乳房が硬い乳房より振幅が大となった.ブラジャーの着用によって,乳房の振幅スペクトルに高い周波数成分が生じるようになり,測定点間の相関も低くなった.またブラジャー着用時の乳房が硬い乳房に近くなり,両者の特性が似たものとして表れた.以上のように乳房振動を分析し,その特性をとらえることができた.乳房の振動特性は,ブラジャーの着くずれや着心地に関係する問題を含み,設計に欠かすことのできない要因である.ブラジャーの設計支援システムの中で,乳房の振動特性をどのように制御するかが重要な課題である.今後は胸部の3次元形状データのモデルを利用して,運動機能性のよいブラジャー設計の技術開発につなげたいと考えている.
著者
長津 美代子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.42, no.11, pp.949-959, 1991-11-15
被引用文献数
2 or 2

The purpose of this study is to explore gaps between attitudes toward gender roles of male and female students, by using such criteria as attitudes toward role relationships between male and female, the double standard of sexual morals, men's leadership in dating, and energy allocation to occupation and homemaking after marriage. The survey was conducted in January, 1990 to 735 university students in Tokyo and its outskirts. The major findings are as follows : (1) ISRO (The Index of Sex-Role Orientation, E.A. Dreyer et al.) scores on attitudes toward role relationships between male and female point out that 45% of the female students are innovative type, but about the half of the male students are traditional one. (2) Compared with female students, male students tend to accept the double standard of sexual morals. (3) Female students expect that males play leadership roles when they go out together more than male students themselves intend to. (4) Male students wish to allocate less energy to occupation than their fathers do, arid female students hope to allocate less energy to homemaking than their mothers. As a result, the present tendency to give too much attachment to occupation for males and homemaking for females will bc relieved in their married life. (Received January 5, 1991)
著者
三野 たまき 上田 一夫
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.255-267, 1998-03-15
参考文献数
10
被引用文献数
1 or 0

本研究では, 静立位の浴衣圧・それに対する官能評価・体型・浴衣の着崩れとの関係をSPEARMANの順位相関を用いて検討した.被験者は20〜30歳代の成人女子5名であった.浴衣圧(液圧平衡法を使用)は呼吸運動や動作などの様々な因子によって変化した.浴衣圧は主に腹部に発生していた.最も高い圧が計測されたのは帯の下層の, 浴衣と腰紐との間の水平面であった(静立位では10.7±9.7mmHg(14.6±13.2gf/cm^2), 正座位では18.9±10.8mmHg(25.7±14.7gf/cm^2)).トップバストとアンダーバストの差が大きい被験者ほど, 胸元の着崩れ量が多かった.右脇線の着崩れ量は腰紐の締め方に依存した(20mmHg(27g/cm^2)を超えないように, 腰紐をしめるべきである).胸元の着崩れ量が多い被験者ほど, 圧感覚(締め感覚)の大きさは小さかった.
著者
岡部 和代 黒川 隆夫
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.379-388, 2005-06-15
参考文献数
12
被引用文献数
2 or 0

To clarify the characteristics of breast vibration and brassiere dislocation during running, movements of five spots on the breast surface, that of the same five spots on transparent brassieres after removing brassiere caps to visualize the breast surface, and the clothing pressures of the corresponding five spots were simultaneously monitored using an image analyzing system. The subjects for our experiment were young women with had hemispheric breasts. Obtained data of those movements and pressure were analyzed using the discrete Fourier transform. The breasts in a brassiere were vibrated at the same frequency of running. The dislocation of the brassiere from the breast surface which was observed was associated with changes in the clothing pressure at the lower half of the brassiere. Vibration of the breasts of the subjects wearing spots brassieres was move obvious in the vertical direction, while vibration of the breasts of the breasts of the subjects wearing full-cup brassieres was more obvious in the horizontal direction.
著者
江角 由希子 小原 郁夫 小原 郁夫
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.1217-1222, 1999-12-15
被引用文献数
1 or 0

市販のミネラルウォーターに対する嗜好性を女子短大生と雌ラットで調べた.ミネラルウォーター中のCa, Mg, NaおよびKの含有量は原子吸光分析法,硬度はキレート滴定法で測定した.次に,正常な味覚感受性である女子短大生を経験者とし,ミネラルウォーター4種と水道水を試料として官能評価を行った.一方,ラットは8週齢雌を用いて二瓶選択法により嗜好性試験を行った.ミネラルウォーターの中のCaおよびMgの含有量はラベル表値よりも低く,NaおよびKは高かった.また,硬度はCaおよびMgの含有量から算出される値の薬1.2倍を示した.官能評価に用いたミネラルウォーターの硬度は11.5, 58.3, 81.3, 332.3, 534.0mg/lであり,水道水は38.3mg/lであった.女子短大生,雌ラットとも硬度58.3mg/lのミネラルウォーターにおいて嗜好性が最も高く,硬度300mg/l以上では嗜好性が低下した.これらの結果は,女子短大生と雌ラットにおけるミネラルウォーターの嗜好性は類似しており,硬度約50mg/lが飲み水として最もおいしいということを示唆した.また,ミネラルウォーターにおいてもおいしさの指標をして硬度が使用できることが確認された.
著者
岡部 和代 黒川 隆夫
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.743-751, 2006-11-15
参考文献数
7

ブラジャーは女子の肌に密着するファンデーションとして,消費者の感性的ニーズをデザインに反映させる必要がある.消費者の好みや感性をデザインに活かすには,評価した人の特性を評価し,類型化することが必要となる.そこで,本研究では日本人若年女子193名にタイプの異なるブラジャー5種を対象として官能評価を行わせ,ブラジャーの特性を明らかにした上で,判定者の類型化を行った.ブラジャーに共通した因子として,ズレ感,揺れ感,圧迫感,整容感,背面・脇押え感を抽出した.特にズレ感や揺れ感の因子は寄与率が高く,また総合的な着心地との相関が高かった.タイプ別に導出した判定者の因子スコアを原データとしてクラスタ分析を行い,判定者を4クラスタにパターン分類した.クラスタごとに官能評価結果を分析することにより,評価の深層を浮かび上がらせることが可能になるということが示唆された.さらに評価結果は,判定者がブラジャーについてどのような感覚が強いか,ひいてはブラジャーに何を要求しているかを表すものと考えることができる.判定者が多ければ,判走者のクラスタはそのまま消費者のクラスタと考えられ,官能評価分析の結果をニーズに基づく商品設計に応用できるはずである.しかし,官能評価の判定者の反応が多様であることから,官能評価の方法や商品設計について考えさせられる点が多かった.本研究では4クラスタに分類したが,ほとんどの項目に中間の評価をするクラスタ1の判走者が多く含まれる官能評価では明瞭な結果が得られない可能性が高くなるし,クラスタ2とクラスタ3のように反応差が大きい判定者が混じっている場合も平均化されて暖味な結果に終わることが考えられる.消費者の感性を商品に反映し,質の向上を図るためにはクラスタごとに官能評価結果を分析して深層を浮かび上がらせることの重要性が示唆された.
著者
村上 恵
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.120-128, 2015 (Released:2015-03-07)
参考文献数
15

本研究では,ゆで水に添加するNaCl の濃度を0%,0.2%,1%,2%に変化させて4種類のスパゲティをゆで,NaCl の硬さへの影響を検討した. ゆでスパゲティの破断応力は,0% NaClと比較して2% NaClで高くなる傾向を示したことから,2%のNaCl添加によりスパゲティは硬く茹で上がると考えられた.ゆでスパゲティの水分含量も2% NaClで減少し,スパゲティの染色実験においても,2% NaClによりゆで後スパゲティの未染色部の割合が増加していたことから,スパゲティへの水分吸収の遅れや水分含量の減少がスパゲティを硬くする要因として関与していると考えられた. さらに,グルテンをNaClを添加したゆで水でゆでたところ,20% NaClでグルテンの水分含量は有意に低値を示したが,2%以下のNaCl添加では水分含量に有意な差はみられなかった. 以上の結果より,ゆで水に通常使用する1%のNaCl 添加では,スパゲティの硬さには影響しないことがわかった.また,2% NaCl添加でスパゲティは硬くなる傾向を示したが,それはグルテンのNaClによる収斂作用以外の他の要因が関与していると考えられた.
著者
大村 知子 山内 幸恵 平林 優子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.393-402, 2008-06-15

人体の動作により衣服にはひきつれやだぶつきといった着くずれが生じる.本研究では,姿勢変化の過程における人体とパンツの軌跡を三次元動作解析システムにより捉え,動作により人体とパンツがずれるプロセスの解明を試みた.また,ずれの量や方向についてパンツ別,被験者別,動作別に比較を行った.主な結果は次のとおりである.(1)ずれの量は開口部で大きく,ずれは皮膚の伸展の大きい部位に向かって生じた.(2)ずれはアンクルラインやニーラインなど衣服にゆとりが多い部位で先に生じ、それからウエストラインなど衣服のゆとりが少ない部位で徐々に生じる傾向にあった.また,ずれは水平方向や横方向へ先に生じ,その後に垂直方向に生じる傾向にあった.(3)股上が浅く,ゆとりの大きいパンツは,後ウエストラインにおいて下方へのずれの量が大きかった.立位から蹲踞への動作では立位から椅座への動作よりウエストラインにおいて後方へのずれの量が大きかった.また,ずれの量や方向は被験者の着衣の仕方や好みに影響を受けた.
著者
富山 貴子 桂木 奈巳 酒井 哲也 酒井 豊子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.749-755, 2003-09-15

Various kinds of periodical phenomena are observed in the natural world and in the social systems. Even in apparel fashion trends, people feel some periodical changes exist. This paper presented a trial to qualitatively characterize such a periodicity which appeared in apparel fashion trends. For this purpose, numerical data for the length of ladies jackets and skirts proposed in a popular fashion magazine published in Japan from 1960 to 1998 were used. Data were treated with some mathematical techniques including Fourier transformation analysis, self-correlation analysis and common statistical methods. Results obtained are as follows; 1) Comparing the distribution of length for clothes proposed in a given year with the length of the clothing selected by a person as being representative of the year, it was clarified that the length of the representative clothing selected by the person coincided with the mode value for the distribution. 2) Three major changes in the length of jackets and skirts were found over the years, the first change after a periodic time of 10 years, the second after 20 years and the third after 40 years. The change which occurred after 10 years periodicity was the most profound one. 3)The 10-year periodicity may be correlated with the period of use of apparel, while 20-year periodicity may be connected to the length of time which takes for women to develop a mature fashion sense. The 40-year periodicity remains unclear, but it covers two generations and, therefore, is long enough for the revival of an old fashion as a new fashion.
著者
西村 公雄 宮本 有香 樋笠 隆彦
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.55, no.8, pp.605-615, 2004-08-15
被引用文献数
6 or 0

75℃で真空調理加熱した鶏ささ身は, 100℃で加熱したものより有意に収縮が弱くかつ,やわらかく仕上がった.両試料のヒドロキシプロリン量に,有意な差はなく,走査電子顕微鏡観察においても微細構迫間に顕著な差は観られなかった.ミオシンを両温度で加熱後その凝集状態を透過電子顕微鏡で観察したが,状態に差は認められなかった.しかしながら,接触しているタンパク質同士を結合する試薬1-ethyl-3-carbodiimideを用いて得られたミオシン凝集体の電気泳動パターンは,明らかに100℃加熱した方が75℃加熱したミオシンより重合化が進んでいることを示していた.このことは, 100℃加熱で形成されたミオシン凝集体がよりコンパクトな構造を持っていることを示している.
著者
河村 知恵 田村 咲江 肥後 慶三
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.44, no.11, pp.941-949, 1993-11-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
15
被引用文献数
2 or 1

野菜の妙め調理における火力の相違が軟化に及ぼす影響をしらべ, さらに軟化の機構を解明することを目的として, ニンジン根部の師部柔組織の硬さと組織形態の変化を調べた.(1) 妙め処理後の重量減少率は火力が大で, 妙め時間が長いものほど大であった.破断応力の解析では, 妙め時間で比較すると火力Bで妙めた方が早く軟化した.しかしガス消費エネルギー当たりでは大差はなかった.破断エネルギーは, 妙め処理当初で生よりも大となったが, 妙め時間の経過とともに低下し, 火力Aよりも火力Bで妙めたもので早く低下した.貫入総エネルギー量は, 火力Bの方が早く低下した.(2) 140,160,180及び200℃のホットプレート上での片面連続加熱では, 温度が高いほど早く, また加熱時間が長いほど顕著に軟化した.ホットプレートの温度設定の相違と軟化の程度の関係は, 妙めものの場合の火力の相違と軟化の状態に類似した傾向を示した.(3) 顕微鏡による柔組織の観察結果では, 火力Aよりも火力Bで妙めた試料の方が組織の形態変化が顕著であった.火力Aでは6分間妙めた場合も, 表面部に水分の緩慢な蒸発による細胞の萎縮が生じるのみで, 内部は煮熟した場合のような様相を呈していた.火力Bで妙めたものでは, 高温加熱による急速な水分の移動のために, より短時間にニンジン片の深部にまで組織の萎縮が及んでいることがわかった.火力Bで3分間妙めたものでは, 急激な水分蒸発が生じるため, 表面部の細胞が偏平化して膜様構造を形成し, その内側に巨大な空隙が生じていた.200℃で片面連続加熱した試料においても時間の経過とともにこの現象が顕著に認められた.このことから, 火力の相違は妙めニンジンの軟化に要する時間に関係するばかりでなく, 表面構造に差異をもたらすことがわかった.
著者
中谷 博美 後藤 景子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.637-643, 2013 (Released:2014-10-23)
参考文献数
23

Detergency of textiles by low-water laundering was assessed with a drum-type washing machine called a Wascator. An artificially soiled cotton fabric (Sentaku Kagaku Kyoukai) and three mechanical action fabrics (WAT cloth, Poka-Dot®306 and MA test piece) were attached to cotton ( 920×920 mm2 ) and polyester ( 200×200 mm2 ) load ballasts and then washed in aqueous alkaline detergent solution with a different bath ratio. The washing procedures used were normal, gentle and hand wash in accordance with ISO 6330. At the extremely low bath ratio of 1:3, both detergency, D, and the mechanical action value, ΔL*, decreased for all washing procedures. The magnitude and the deviation of D and ΔL* were dependent on the load ballasts used, indicating that soil removal was prevented and that uneven washing was promoted for large clothes. The relation between D and ΔL* for all experimental data was plotted on almost the same line in the high ΔL* region. In the low ΔL* region, the relation was dependent on the bath ratio, i.e. detergent bulk concentration. For low-water laundering, it was suggested that the detergency performance decreased as a result of the reductions of the mechanical action and detergent bulk concentration.
著者
柴田 優子 布施谷 節子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.297-307, 2014 (Released:2015-01-01)
参考文献数
16
被引用文献数
1 or 0

Our goal is to identify clothing designs and safer and easier movement patterns for self-dressing. Twenty-four young women were asked to put on and take off pants of 3 different styles (straight leg pants, wide leg pants, and slim leg pants) using the following four support postures: standing with no support, leaning against a wall, sitting on a chair such that the feet do not touch the floor, and sitting on a chair with the feet touching the floor. We examined differences in body sway movements.   Putting on and taking off pants while standing forced the subject to stand on one leg while inserting the other leg into the pants and removing it, which caused the subject to lean considerably in the opposite direction to the leg being lifted. This step was considered to be the cause of swaying among elderly women when they put on and take off pants. This sideways swaying can be significantly decreased by having the subject sit during dressing, regardless of the height of the chair. In addition, swaying movements were greater for dressing in the standing position for slim leg pants than they were for the other styles due to the greater forward inclination that was required.
著者
蟻川 トモ子 大島 さゆり
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.46, no.7, pp.635-640, 1995-07-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
15

梅酒の熟成中における糖, 酸度, pH, 色調の変化について, 30℃および常温保存の試料を, 原料混合から1年にわたって追跡し, つぎの結果を得た.1) 漬け込み後4日目くらいまでは固体のショ糖の溶解のみが起こって全糖度が増加するが, ショ糖の転化は起こらない.2) ショ糖の転化は4日後ころから起こり, 10~90日くらいまでは急激に, 以後は徐々に進行してほぼ200日後に完了する.3) 全酸度は30℃および常温保存試料について, 漬け込み直後6.1および4.4であったものが30日後まで急増してそれぞれ20.0および19.6となり以後徐徐に増加して365日目にはそれぞれ25.4, 21.6となった.4) pHは最初3.2くらいで4日目には3.0に下がり, 以後熟成中あまり変化は認められなかった.5) 色調の変化は日数の経過とともにほぼ直線的に着色が進行した.これは糖の褐変が関与しているものと考えられる.以上の結果にもとついて梅酒熟成中の成分変化について考察した.
著者
杉山一弥
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.283-292, 2007-05-15
参考文献数
11
被引用文献数
1 or 0

Kamakura-nenchuu-gyouji is a description of the clothing in various classes of samurai in East Japan. The clothes and accessories were different for each class. They were required by Kamakura-kubou to dress in different colors, shapes, and materials. This applied to every event and ceremony. There were also differences in vehicles. Mon, weaved into clothes, was also very important, because Mon was an expression of the Japanese sense of beauty. The giving a way of clothes after wearing them was also very important in the Muromachi period. The rules of clothing applied not only to daily clothing but also to armaments. Clothing always symbolized the classes and formality. In East Japan in the Muromachi period, the clothing of samurai were determined not by the scale of one's power but by the status of the Kamakura-Fu.
著者
得丸 定子 小林 輝紀 平 和章 松岡 律
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.411-419, 2006-06-15
参考文献数
32

「いのち教育」を展開するための基礎的知見を得るために,大学生を対象に「死の不安に関する多次元的尺度(MFODS)」を用いて,「死と死後の不安」についての意識調査を行い,結果として以下のことが得られた.(1)因子分析では「死と死後の不安」について5因子抽出された.この因子分析結果は,因子数や因子の内容共に,MFODSが開発されたアメリカでの調査及び追試の結果とは異なった.原因としては,宗教や文化的慣習の相違が挙げられる.この相違は「いのち教育」を実践する場合,宗教や慣習を考慮した展開が重要であることを示している.(2)信仰している宗教の有無については,本調査でも約60%の学生が無宗教と回答していた.「いのち教育」は宗教や慣習行事と深い関係があり,実践に際しては宗教や慣習は考慮する必要がある.日本の場合,無宗教と信仰心がないこととは別のことであり,初詣をする,おみくじを引く,お墓参りをするなどの宗教的慣習行動をとっている.このことは「いのち教育」展開の導入として,意味は大きい.(3)「宗教観の低い」学生は「死後の自分の世界と肉体に対する不安」因子が低く,「死体に対する不安」因子が高かった.「宗教観が低い」学生は目に見えない世界やことについて価値を置かない結果と考えられる.(4)性別と「死と死後の不安」の関係では,女子学生が男子学生に比べてすべての5因子で高い結果を示した.これは歴史的・文化的背景を含んだジェンダーバイアスとも考えられる.男子学生には「死と死後の不安」が少ないことではなく,むしろ男子学生には無意識的に表現が抑圧されているだけに精神的ストレスが大きいことが考えられる.(5)抽出された「死と死後の不安」5因子は,「いのち教育」を展開する際の内容の提示と考えられる.今後「死と死後の不安」5因子を「いのち教育」の授業内容として具体的に展開する研究や実践がなされることが期待される.
著者
藤原 ひとみ 中山 徹
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.65, no.7, pp.361-371, 2014 (Released:2015-01-01)
参考文献数
7
被引用文献数
1 or 1

Housing modification is an effective means for elderly and disabled people to continue living in their home. However, it is difficult for renters to modify rental housing in Japan. Sometimes housing modification by the renter is referred to a judicial court.   The purpose of this study is to collect and analyze information about housing modifications that have been done in rented houses. Forty-eight such cases were investigated. The following results were obtained. In 42 cases, contract cancellation was contested for the reason of housing modification by the renter. In 6 cases, the cost related to modification was contested. The contracts of 20 of the 42 cases where housing modifications had been carried out were rescinded, while those of the other 22 were not. Renters were not required to give up their lease if the following conditions were met: 1) the modification work did not affect the structure of the building; 2) the modifications met social demands; 3) the modifications restored the house to its original condition; 4) the value of the housing unit had increased and it was possible to restore the unit to its original condition.   It was concluded that modifications could be carried out without the authorization of the lessor if these four conditions were met.
著者
松本 仲子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.43, no.9, pp.903-913, 1992-09-15

All examples of egg dishes described in cookery books published over the Edo period were collected and examined. Eggs, which has characteristics of heat coagualation and foaming, have been widely used not only as the material but also as a side material in various dishes. These cooking properties of eggs were fully utilized in the Edo period. Therefore the egg dishes collected from the literature include almost all those which have been known today. Egg dishes appeared in the literature of the Edo period for the first time. However some egg dishes, for example, "Fuwafuwa" and "Funoyaki" reached the golden age in early Edo period. This fact suggests that these dishes might have been known before the Edo period.
著者
岡部 和代 黒川 隆夫
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.731-738, 2003-09-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
11
被引用文献数
2 or 0

着心地の良いブラジャーの設計や新しい設計システムを構築するためには, 複雑に動く乳房の運動機構やブラジャー着用に伴う乳房振動特性の変化を明らかにしておくことが重要である.そこで, 本研究では半透明なブラジャーを用いて, 運動画像解析システムにより, ブラジャー着用時と非着用時の走行中と歩行中の乳房の動きを計測した.乳房の動きから体幹部の動きを分離し, 乳房独自の振動データを抽出した後, 離散フーリエ変換によって分析した.その結果, 乳房の振動は歩行周期の影響を直接に受け, 走行中が歩行中より, 垂直方向が水平方向より大きくなった.ブラジャー非着用時の垂直方向の振幅は歩行周波数で最大となり, 体幹部の運動の影響を強く受けることが分かった.非着用時の乳房振動は乳房の硬さ指標と相関が高く, 柔らかい乳房が硬い乳房より振幅が大となった.ブラジャーの着用によって, 乳房の振幅スペクトルに高い周波数成分が生じるようになり, 測定点間の相関も低くなった.またブラジャー着用時の乳房が硬い乳房に近くなり, 両者の特性が似たものとして表れた.以上のように乳房振動を分析し, その特性をとらえることができた.乳房の振動特性は, ブラジャーの着くずれや着心地に関係する問題を含み, 設計に欠かすことのできない要因である.ブラジャーの設計支援システムの中で, 乳房の振動特性をどのように制御するかが重要な課題である.今後は胸部の3次元形状データのモデルを利用して, 運動機能性のよいブラジャー設計の技術開発につなげたいと考えている.
著者
増田 美子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.52, no.10, pp.973-982, 2001-10-15

A certain style of mourning dress was established in the first part of the Heian period, and while almost all of the basic styles. Continued to be worn in later years, the more formal style did not appear until the latter part of the period. The formal style was called Sokutai and the informal one was known as Noushi, the same as those for the Kichibuku (normal dress), while the color itself played a key role. In the case of the Ryoan Shozoku, dressing in a blackish Tsurubami (dark brown) was normal, and Ihou (outer garments designed for each job ranking) was worn for service in the Imperial Palace. For public funeral occasions, mourning dress other than the Ryoan were Mumon Kan (plain cap without any pattern) and Nibiiro Hou (dark grey outer garments), Mumon Kan and Mumon Hou (outer garments without any pattern), and Aya Kan (cap with a pattern) and Aya Hou (outer garments with patterns) in descending order of relationship intimacy. The colors of Sitagasane (underwear) and Hakama (pants) were Nibiiro, Ao Nibiiro (bluish dark grey), Ao Kuchibairo (bluish brown) Ki Kuchibairo (yellowish brown) in descending order of the intimacy of relationship. Each person selected a combination of the style of the costume and the color from among those mentioned above, based on his or her own state of mind at each occasion. After the 49th day from the passing, which came to represent the end of one of the mourning periods, the color of the mourning dresses were gradually changed to lighter ones. Private mourning dress was also worn in accordance with public dress in principle, and females also changed their Kichibuku to those of dark grey colors.