著者
河合 潤子
出版者
椙山女学園大学
雑誌
椙山女学園大学研究論集 : 人文科学篇・社会科学篇・自然科学篇 = Journal of Sugiyama Jogakuen University. Humanities, Social sciences, Natural sciences (ISSN:24369632)
巻号頁・発行日
no.54, pp.63-74, 2023-03-01

1日3食を食べる習慣は,鎌倉時代から始まり,江戸時代後期には定着したと言われる。しかし,1回の食事が整っているわけではなく餅2個や饅頭,粥などの軽食ですませているため,現代の3食とはかなりかけ離れている。小腹がすいたら食べるという軽食感覚であったと考えられる1)。江戸では,参勤交代による単身赴任の武士が外で飲食をする機会も増え,味噌をはじめ様々な調味料や文化が開発,発展していったとされている。 そこで,本研究では,一般的に家庭で作られていた伝統的な調味料である味噌の中でも,塩分含量が少なく甘味の強い「江戸甘味噌」に注目した。江戸甘味噌の特徴,調製方法,さらに当時作られていた料理を当時の書物から時代背景を加味して取り入れた。しかし,いろいろな方法が記されていたため,現代の家庭でも可能な方法で調整した。調整した江戸甘味噌はくせの無い香りや旨味があり,特に独特の甘みには腸内環境にも好影響をもたらすイソマルトースが含まれていた。今後,健康への取り組み,食文化の継承保持からも江戸甘味噌普及に向けた取り組みは重要と考える。