著者
河本 美津子 荒川 秀俊 前田 昌子 辻 章夫
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.40, no.10, pp.537-542, 1991-10-05
被引用文献数
3 1

還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)を高感度に測定することを目的として酵素サイクリング法によりNADHを増幅させ, 化学発光法で測定する方法を検討した.酵素サイクリングに用いた酵素反応系はリンゴ酸デヒドロゲナーゼ/アルコールデヒドロゲナーゼ系で, 生成したリンゴ酸を過剰量のNADP^+とMalic enzymeによりNADPHとし, 既報の方法に従ってイソルミノール/ミクロペルオキシダーゼによる化学発光法で測定した.最適条件下でのNADHの検量域は0.01〜5pmol/assayで, 酵素サイクリングを用いない既報と比較して約1000倍感度が向上した.本法をアルカリホスファターゼの酵素活性測定に適用したところ0.036〜18amol/assayの検量域で既報と比較して約50倍感度が向上し, その精度は3.9〜6.3%(相対標準偏差)であった.更に本法を17α-ヒドロキシプロゲステロン(競合法)及びヒトじゅう毛性ゴナドトロピン(サンドイッチ法)酵素免疫測定法に応用した.