著者
河村 幹夫 林川 眞善 日高 幹生 竹本 吉広
出版者
多摩大学
雑誌
経営・情報研究 : 多摩大学研究紀要 (ISSN:13429507)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.31-46, 2001

20 世紀型の総合商社は死んだ。言葉をかえれば従来どおりの発想、意思決定、行動を続けるかぎり、総合商社は21 世紀を生き抜いていくことはできない。なぜなら、そういう存在に対して21 世紀の世界の経済社会は価値を認めないからである。それでは総合商社に明日はないのか。もちろんある。それは一口でいえばみずからを「取引仲介業」から「情報仲介業」に根本的に変質させることである。そこでは事業も取引もすべて情報という価値基準に基づいて分類、整理され、評価される。総合商社は業法に縛られた規制業種ではなかった。それゆえに、国内的な規制の枠組みではなく、国際的なパースペクティブの中で持続的成長を少なくともバブル崩壊までは実現してきた。その意味では、ビッグバンの時代に入れば、当然のごとく総合商社の活動範囲が飛躍的に拡大し、21 世紀の日本のリーディング・インダストリーになることすら期待されたのであったが、現実の姿はそれとはほど遠く、未来への展望も十分に拓けていない状況にある。何故、総合商社は未来に向っての展望を拓き、新しいビジネス社会の創出に手間取っているのだろうか。