著者
常見 耕平
出版者
多摩大学
雑誌
経営・情報研究 : 多摩大学研究紀要 (ISSN:13429507)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.81-92, 2006

本稿は、不動貯金銀行「内規」の研究である。不動銀行の経営理念である「大黒天信仰とニコニコ主義」どのように内規に表現されているかを見た。そこで、他の貯蓄銀行の内規と比較を行った。また、新経済体制下で行われた内規の改定について検討を加えた。
著者
河村 幹夫 林川 眞善 日高 幹生 竹本 吉広
出版者
多摩大学
雑誌
経営・情報研究 : 多摩大学研究紀要 (ISSN:13429507)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.31-46, 2001

20 世紀型の総合商社は死んだ。言葉をかえれば従来どおりの発想、意思決定、行動を続けるかぎり、総合商社は21 世紀を生き抜いていくことはできない。なぜなら、そういう存在に対して21 世紀の世界の経済社会は価値を認めないからである。それでは総合商社に明日はないのか。もちろんある。それは一口でいえばみずからを「取引仲介業」から「情報仲介業」に根本的に変質させることである。そこでは事業も取引もすべて情報という価値基準に基づいて分類、整理され、評価される。総合商社は業法に縛られた規制業種ではなかった。それゆえに、国内的な規制の枠組みではなく、国際的なパースペクティブの中で持続的成長を少なくともバブル崩壊までは実現してきた。その意味では、ビッグバンの時代に入れば、当然のごとく総合商社の活動範囲が飛躍的に拡大し、21 世紀の日本のリーディング・インダストリーになることすら期待されたのであったが、現実の姿はそれとはほど遠く、未来への展望も十分に拓けていない状況にある。何故、総合商社は未来に向っての展望を拓き、新しいビジネス社会の創出に手間取っているのだろうか。
著者
青山 浩一郎
出版者
多摩大学
雑誌
経営・情報研究 : 多摩大学研究紀要 (ISSN:13429507)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.1-22, 2002

1990 年代以降、大量に発行されてしまった国債を今後どうするかは、現在のわが国で最大の政策課題になってきた。2000 年度あたりまで、正確には森内閣までは、景気回復を最優先して国債の累増には眼をつぶるというのが政府の方針であった。小泉内閣が登場してから、国の債務累積を抑制しようということに政策の方向が転換した。「国債発行を30 兆円以内にとどめる」というのが、小泉首相の最初の具体的メッセージであった。それ以来、国債問題が国会でも、マスコミでも、霞ヶ関でも、あらゆる機会にとりあげられている。政府や日本銀行はホームページに国債コーナーを設け、広報活動にもつとめている。 しかしながら、経済用語として、国の政策手段として、この国債ほどわかりにくいものはめずらしい。専門家が使っている用語と、普通の国民が理解できる用語がちがうのだ。結果的に専門家の用語は、事実の隠蔽になっていることが多い。典型的な例が「国債発行30 兆円」である。「敗戦」を「終戦」と表現したのとおなじで、政府の国民にたいする欺瞞として、これほど大がかりなものは少ない。わかりやすく「国債の新規発行あるいは増発30 兆円」と、なぜ表現しないのだろうか。 そう思ったのが、今回の執筆動機である。 この小論では、国債をめぐる、政府の国民にたいする欺瞞、専門家が一般の人たちにあたえている誤解のいくつかを、できるだけ明らかにしてみたい。 そして、一般国民や多くの投資家が国債問題を正しく認識できるためには、どうしたらよいかを考えてみたい。とりあえず言えることがいくつかある。わが国最大の課題である国債に関して、政府や日本銀行は正確で平易な広報活動を展開していただきたい。とりわけ財務省、総務省、首相官邸は、債務者としての説明責任を自覚して、急いで本格的な広報にとりくまなければならない。そのとき、専門家の間でしか通用しない言語でなく、国民にむかって普通の言葉と論理を使って説明していただきたい。わが国では、第2 次大戦前後の経験を最たるものとして、国民は結果的に政府が推進した貯蓄奨励にしたがった結果、手痛い損失をこうむった歴史がある。国民は今後とも政府の言うことを、うたがいながら監視する必要がある。マスコミは国債問題をもっと正確に報道しなければならない。論者をふくめて金融・資本市場の研究者はもっと、国債問題の研究と発表をふやして、国民が正しい認識
著者
中庭 光彦
出版者
多摩大学
雑誌
経営・情報研究 : 多摩大学研究紀要 (ISSN:13429507)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.15-25, 2008

本稿の目的は、1996年、HIS社による航空事業参入ケースを取りあげ、市場構造を変えるために不完全市場に参入する「戦略的参入」の検討を行う。そして、本ケースにおいては、参入阻止側の競争が起きる誘因構造があったことと、コア事業が既存市場で強力だったことが、この戦略的参入をうまく導いた要因だったことを明らかにする。
著者
常見 耕平
出版者
多摩大学
雑誌
経営・情報研究 : 多摩大学研究紀要 (ISSN:13429507)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.25-49, 2002

本稿の目的は、不動貯金銀行頭取牧野元次郎の人事管理政策を明らかにすることである。1900 年に創業した不動貯金銀行は、1915 年には預金高で第一位になるまでに成長した。この成功は、主力商品である「三年貯金」と,「門並勧誘」という事業システムによるものであった。とりわけ、貯金の勧誘と月掛貯金の集金を行う外勤員の力によるところが大きい。その要となるのは外勤員に対する顧客の信頼形成である。本稿では、銀行の建物から離れて働く外勤員の意志と意欲を引き出し、それを組織に対する求心力に変えた牧野の人事管理政策を、採用、教育、待遇から検討した。また、牧野の経営の基盤となった経営理念「大黒天信仰」と「ニコニコ主義」についても検討を加えた。
著者
大川 新人
出版者
多摩大学
雑誌
経営・情報研究 : 多摩大学研究紀要 (ISSN:13429507)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.93-98, 2006

私は、2005年度の春学期、多摩大学で、プロジェクトゼミ「映画でまちおこし」を教えた。東京都多摩市聖蹟桜ヶ丘は、人気のあるアニメーション映画の舞台になっている。私と学生は、プロジェクトゼミのなかで、地元の商店街の活性化を目的としたこの映画の10周年記念上映会と関連イベントを企画・運営した。2005年7月に開催したこのイベントは、全国から、映画ファンが集まり、大盛況となった。そして、履修生と商店主に変化を与えた。地域活動と結びついた授業は、人と地域に元気を与えると考えられる。
著者
望月 照彦
出版者
多摩大学
雑誌
経営・情報研究 : 多摩大学研究紀要 (ISSN:13429507)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.63-73, 2001

21 世紀の盛り場づくりは、カオスの思想・複雑系の発想で展開しなければ、人間にとって面白くわくわくするような環境にはならない。細い小路や小さなブロック、複雑な機能を持った人々が密度高く暮らし過ごす、ごちゃまぜの街。そんな条件を持つ渋谷の公園通りのさらに裏側に今また注目すべき現象が生まれている。商機能や飲食の機能を土壌に、"知の盛り場"が生まれつつあるのである。 すなわち、ニューヨークのシリコンアレーを越える渋谷=SIBU バレー=スーパー・インテレクチュアル・ビジネス・ユニバース・バレーである。 このSIBU バレーは、世界で最初の"知の盛り場"であろう。
著者
河野 文武
出版者
多摩大学
雑誌
経営・情報研究 : 多摩大学研究紀要 (ISSN:13429507)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.113-125, 2005

中国古代の春秋戦国時代から魏晋南北朝(紀元前770年〜紀元581年)までは,いわゆる中華文明の成長期から成熟期までの時期である。その特徴は,全体的に"天人合一"の思想を基盤にして,倫理・道徳等の社会性を中心に展開した後に,純粋なる人間性の追求に転ずる,あるいは回帰するところにあると言える。その一貫しているテーゼは,"天"と"人"すなわち"自然"と"人間"の相関性の解明・解釈と両者の同質性・同義性に基づいた,理想的人格への追求である。 このような精神文明中心の文化観は,必然的に自然崇拝から自然憧憬に傾き,自然美と人間性との相似性、自然現象と人格的品徳の比較となり,当然のごとく,棄智・無欲にして逍遥自在なる生き方こそ人生の最高の境地である,という人生観・文明観に行き着くようになる。 物質文明追求の果て,矛盾、混乱、苦悩・・・に満ちた今日のわれわれの人生観・価値観に,一石を投ずることができるであろうか。
著者
青山 浩一郎
出版者
多摩大学
雑誌
経営・情報研究 : 多摩大学研究紀要 (ISSN:13429507)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.1-21, 2004

日本の長期金利は0.4%を底にして上昇の可能性しかない。長期金利が3.5%になったとしたら、日本国債の保有者と政府にどんな影響があるだろうか。1)15 年度末の国債発行残高は450 兆円である。これをもとにすると評価損は53 兆円となる。2)国債発行残高は、18 年度末には600 兆円に近づくだろう。3)国債の利払い額は年間9 兆円である。それは18 年度には20 兆円に増大する。 国債問題は分析すればするほど、危機の大きさを痛感する。解決には長い年月がかかるだろう。論者は妙案をもっていないが、小泉内閣も国債問題の解決に何の策もない。それどころか、政府は巨大な債務者としての説明責任を自覚しているとは思えない。
著者
常見 耕平
出版者
多摩大学
雑誌
経営・情報研究 : 多摩大学研究紀要 (ISSN:13429507)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.27-44, 1997

本稿は、戦後独自の発展を遂げた小型三輪自動車産業の1945年から1957年までの13年間の競争についての研究である。市場に製品を送り込む力、すなわち「製品供給力」の差が、市場での競争優位を生み出したという視点から、この競争を検討した。まず、競争のキーファクターとしての「製品供給力」について考察し、次いで三輪自動車産業での競争と市場の変化をみた。その上で、ダイハツと東洋工業の2社間での競争を中心に、先行する2社が、いかにして製品供給力での競争上の優位を獲得したかを、生産能力の拡充と全国での販売網の形成を軸に検討した。さらに、追走する各社の努力とその限界を通して、この基礎能力の獲得と維持がどれほど困難であるか、また、競争優位にある企業を追撃するために必要な条件についても検討した。
著者
深澤 弘美
出版者
多摩大学
雑誌
経営・情報研究 : 多摩大学研究紀要 (ISSN:13429507)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.39-47, 2000

本研究では、ベイズ統計学の立場で企業評価という問題を考える。これまでの財務指標を用いた分析の多くは、非ベイズ統計学の手法を適用している。また、業績変化の過程について統計的手法を用いて分析することが不十分である。そこで本論文では、ベイズ理論に基づいて企業業績の時系列分析を考え、統計的モデルを具体的に構築し、そのモデルを活用した予測システムを提案する。このシス テムは、「動的線形モデル」を用いて時系列財務データの動きを捉えて将来の業績を予測し、業績優良もしくは不良企業に判別されるであろう確率を提示するものである。多面的かつ的確な予測が可能になれば、そのような企業評価は様々な場面での意思決定の大きな助けとなると考える。適切な統計的手法を用いた定量的な分析は、外部から企業を評価する1つの方法として活用され得るであろう。
著者
林川 眞善
出版者
多摩大学
雑誌
経営・情報研究 : 多摩大学研究紀要 (ISSN:13429507)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.35-46, 2007

バブル崩壊後15年を経て漸く再生軌道に乗り出した日本経済、いま再びその成長戦略の軸足を海外、つまりグローバル市場にシフトしだした。ただその`場'の様相は、ITの革命的進化が齎す世界経済の水平化、途上国の世界経済への参画、大型グローバルM&Aの増大、等々でかつてのそれとは大きく異にする。こうした変容する環境下、日本企業にはその戦略経営のあり方が問われてくる。本稿はその検討のためのプロローグ作業として、グローバル経済の変容の姿を実践的視点から分析し、日本企業としての戦略経営への基本軸を考察するものである。
著者
飯田 健雄
出版者
多摩大学
雑誌
経営・情報研究 : 多摩大学研究紀要 (ISSN:13429507)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.29-52, 2006

This paper centers on the strategic management of Fast Retailing which not only disrupted but innovated the Japanese apparel industry in the 1990s. The Uniqlo brand is very familiar to Japanese consumers. The company was modestly established in a prefecture west of Japan twenty years ago, but has grown to be the most dominant category killer in the Japanese apparel industry. Fast Retailing sold almost 8 million fleece jackets in 1998 only. Presently, however, the company suffers an innovator's dilemma because it has failed to achieve the sales target after the success of its blockbuster, fleece. Sales are stable now, but growth is slowing. It appears that SPA is no longer a panacea to maintain success. Nonetheless, the dynamic organizational pattern is always global-oriented. Fast Retailing has begun to embark on an aggressive worldwide M&A to increase its total amount of sales. The ultimate game plan is to catch up with GAP and possibly to outgrow the gigantic apparel company.
著者
JOYCE T・A
出版者
多摩大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、日本語の単語間の連想関係をマッピングして語彙知識の特徴を検討するものである。そのため、本研究の中心は、大規模日本語連想語データベース(JWAD)の構築を継続している(Joyce,2005a,2005b,2005c,2005d,2005e,2006,2007;Joyce&Miyake,2008)。連想語に関する質問紙調査を行って連想反応を収集し、連想反応の適切さによってコード化して、ターゲット単語に対して集合での延べ数・異なり数を集計するなどのような整理して漣想反応データをJapanese word association databaseの第一版(JWAD-V1)として公開した(Joyce,2005;2006;2007)。JWAD-V1は、反応者の50名、2,099のターゲット単語に対して、合計104,800の連想反応からなっている。複雑な連想ネットワークを明確にすること及び意味空間での階層構造を視覚化することの方法として、本研究は、大規模日本語連想語データベース(JWAD)に基づいた語彙連想マップの作成、または、JWADの連想ネットワーク表象にグラフクラスタリング方法を発展させた(Joyce&Miyake,2007,2008;Miyake&Joyce,2007a,2007b,in press;Miyake,Joyce,Jung,&Akama,2007)。グラフ理論やネットワーク分析結果、JWADの連想ネットワーク表象は、スケールフリーとスパース性の構造的な特徴を持っていることが明らかになった。語彙連想マップの開発にとって、連想反応の集合とグラフクラスタリングから得られる単語のクラスタリングは、有益な比較材料となりうる。語彙マップの発展・応用を検討する研究として、専門語の学習方法におけるバイリンガル語彙マップの有効性を示唆する結果が得られた日本語習得の研究(Joyce,Takano,&Nishina,2006;Takano,Joyce,&Nishina,2006,2007)、日本語辞書編集の研究(Joyce,2005b,2005d,2006;Joyce&Srdanovic,accepted)、日本語文字体系の研究(Joyce,2007)など行った。
著者
真野俊樹 小柳秀彦 山内一信
出版者
多摩大学
雑誌
経営・情報研究 : 多摩大学研究紀要 (ISSN:13429507)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.27-34, 2007

従来は競争が少なかった病院には患者に選ばれる病院になるあるいはなりたい動機は少なかったと思われる。こういった状況下にあったためか、病院におけるマーケティング・コミュニケーションについての研究は少ない。 今回の調査は、日本病院会の会員病院(2621施設)院長とし,調査方法は無記名式郵送質問紙調査,送付は平成13年10月18日,対象は2621病院におこなった。回答者は,病院長(代理を含む)が541名,無記名が16名であった。 本調査は、病院によるマーケティング・コミュニケーション活動の重要な実態調査といえよう。
著者
齋藤 冨士郎
出版者
多摩大学
雑誌
経営・情報研究 : 多摩大学研究紀要 (ISSN:13429507)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.31-47, 2004
被引用文献数
1

日本のエレクトロニクス企業におけるヒット商品の開発事例を分析し、開発過程を記述する研究開発フロー&ストック・ダイヤグラムを導いた。また分析から以下のことがわかった:1.危機感が開発プロジェクトを起す主要な動機の1つになっている、2.プロジェクトを実際に始動するには具体的な意思決定行為が必要である、3.実際に製品発売に至るためには製品化のための意思決定行為が必要である、4.プロジェクトを成功に導くには製品特化技術が鍵を握っている、5.強い意志の持ち主がプロジェクト遂行上重要な役割を果たしている。