- 著者
-
河村 直樹
- 出版者
- 大阪体育大学
- 雑誌
- 大阪体育大学紀要 (ISSN:02891190)
- 巻号頁・発行日
- vol.37, 2006-03
本研究は、サッカーの戦術や攻撃展開の組み立てにおいて重要視されているダイレクトプレーの実践に焦点をあて、くさびのパス、DF裏のパス、パワープレーの3系統のパスをどのように用いると有効であるのかを検討し、指導現場における基礎的資料を得ることを目的とした。分析対象は2004年度関西学生サッカー1部リーグに所属した10チームで、試合数は86試合である。分析項目は3系統のパス成功率およびシュート出現率の比較、3系統のパスそれぞれについてのパスを出したエリア、受けたエリアのエリア別パス成功率およびエリア別シュート出現率の比較である。分析の結果以下のことが明らかとなった。(1)くさびのパスは3系統のパスの中で最も成功率は高いが、シュート出現率は最も低い。また、パスを出すエリアや、受けるエリアによって成功率に差はない(50%以上)。(2)DF裏のパスは、成功率が低いが、シュート出現率は最も高い。パスを出すエリア、受けるエリアで成功率やシュート出現率に差があり、特にAttacking Thirdでの成功率、シュート出現率が高い。(3)パワープレーは成功率、シュート出現率ともに低い。また、パスを出すエリア、受けるエリアによって成功率やシュート出現率に差はない(約30%)。以上のことから、ダイレクトプレーを実践するためには、まずDF裏のパスを狙うべきであると考える。それが出来ない場合、くさびのパスを用いてゴールに近づきながら、再びDF裏のパスを狙うことが重要となる。特にAttacking Thirdでは積極的にチャレンジすべきである。